ギャグマンガ日和

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「いもこーっ!おーいっ!
いーもーこぉー!」



「なんですか朝っぱらから煩いですよ叫ぶ暇があるなら仕事してくださいバカ太子」




太子
(妹太/飛鳥/甘)





僕はこんな早くから仕事しているというのに、呑気な上司は僕の名前を叫ぶ。


「ひどっ!
このー…新しい必殺技だ!」


またか、とため息をつくといきなりきつく抱き締められる。


「…ッ?!な、にすんですか太子!」

驚きすぎて声が上擦ってしまう。


「こうすれば妹子は大人しくなるからな。
新必殺技、聖徳抱擁だ!」



「…やめてください太子臭がうつります」


「ははは思い知ったか!…太子臭?!」




…あれ。
カレーの臭いがしない。
いつもなら、強烈なカレーの臭いがするはずなのに…
それどころか、
眠くなるようないい香りが僕の鼻をくすぐる。



「太子…なにか、つけてます?」
「なにかって?」
「香ですよ!香!」


「ああ、今日はつけてないぞ。
いつもはカレーの香つけてるけど」



…は?
僕は言葉を失った。
この馬鹿野郎、
カレーの香つけてたのか。
つけなければこんなにいい香りがするのに…


「…そうですか」

一応返事をしてから太子を抱き締める。
すんと吸うといい香りが体のなかを巡る。



「い、いもこ…?」

「太子、…いい香りですね」

「…っ、」


ちらりと顔を上げると真っ赤な顔の太子がいた。
そんな上司がどうしようもないくらい可愛らしく思えて、頬に口付けする。



「…さ、太子。仕事しますよ」

ゆっくりと離し、優しい口調で言ってやる。


「………っ」

「太子?」


いつまでたっても俯いたまま黙っている太子を覗き込む。

「…いもこの、ばか…
こんなんじゃみんなの前にでれんだろうがっ」


眉を下げて、
耳まで真っ赤にして僕を見る太子を、
もう一度強く抱き締める。


仕事をしなければ。
わかっていたけど体が勝手に動いた。



「…責任とります」

「え…わ、わっ!押し倒さんといて!」

「言い出したのは太子でしょうが」

「ちょ、妹子、待っ…ッ!」









(甘い香りに誘われて)

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