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□は組家族計画〜大晦日〜
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大晦日


ゴーン、ゴーン

喜「あれ、何か聞こえるよ」←外に目を向ける
庄「ああ、これは除夜の鐘の音だね」
喜「じょやのかねのね〜?」←首を傾げる
庄「そう。煩悩の数だけ、つまりは百八回鐘を鳴らすんだ」
喜「へえ!さすが庄ちゃん!!」←キラキラ
 『庄ちゃん講座はわかりやすいねえ』←お盆を持ちながら
伊「首席は違うってことかな、蕎麦こっちに一個足んないよー」
乱「あ、こっちにあるよ」←自分の前のお椀に手を伸ばす
き「ばっ!乱太郎は持」
乱「うっわあ!!」←こたつの座布団に足を取られる
団「あっつううう!?」←テレビゲーム中
 『さすが不運。年の瀬も変わりませんな』←感心してる
伊「はあ、氷持ってくる」←溜め息混じりながらおかん
三「よし!今のうちに攻めるよ兵太夫!」←テレビゲーム対戦相手
兵「了解!」←プロの域
金「マジか!おい馬!早くしろ!こっち全滅だぞ!」←同じチーム
虎「お前らいつまでもゲームやってんなー」←両手に大皿
し「ご飯にするよー!」←同じく大皿
三「待って、もう少しで完全勝利」←指の速さ尋常
団「俺・復活!!待たせたな!!」←背中に氷袋突っ込んでる
金「おせえよ!もう残り僅かだかんな!」←親指つりそう
兵「はっ、今さら。僕らの勝ちは目に見えてるよ」←どやあ
団「まだまだだな兵太夫!俺にはまだこいつが残ってるぜ!」←キラリ輝くつぶらな瞳
三「うわ、チートきたこれ」←しまったという顔
き「虎ー、酒はー?」←くいっと飲むポーズつき
虎「あるに決まってんだろ!しんべヱと庄左も飲めよ!!」←生き生きと
し「僕食べる方がいいー」←蕎麦に手が伸びている
伊「二人の介抱をするのは誰だかわかってるのかな」←じとっと上から見下ろす
虎「伊助ちゃーん!」←長男のはず
 『まったく、虎兄は甘えん坊だなあ』←取り皿と箸の準備
喜「僕はお姉ちゃんに甘えるー!」←背中に抱きつく
 『おお!可愛い弟なら大歓迎だよ!』←頭撫で撫で
庄「いいなあ喜三太は甘えられて」←後ろから見ている
 『え?庄ちゃんも来ていいよ?』←さも当たり前のように
兵「ぶっ」←聞いてた
伊「はっ」←聞こえた
喜「お姉ちゃん太っ腹ー!」←目を輝かせて
 『でしょ!さあおいで庄ちゃん!』←ばっと腕を広げる
庄「お前はもう少し自覚を持った方がいいかな」←頭をぽんぽんと叩く
 『何を?』←見上げながら首を傾げる
喜「お姉ちゃんは僕が守るー!」←意外に敏感なお年頃
兵「おまっ、喜三太!いつまでもくっついてんな!」←我慢できず
団「しめた!今こそ俺に力をおお!!」←厨二病気味
金「うるっせえよ!手を動かせ!」←隣の兄貴がうるさい
三「へえーちゃーん、お姉ちゃん大好きなのはわかったから戻っておいでー」←1対2で正直つらい
兵「だ、誰がだい、だい…っ」←顔真っ赤
き「好きってとこが言えないのな」←ビールをぐびっと
乱「可愛いじゃんか」←ぐびっと飲む、何かを
 『ねえ、虎兄お腹空いたよー』←ずるずる
喜「僕もー」←腰に抱きついてる
虎「おお!そうだな!」←頭をがしがし撫でてあげる
伊「お前ら早くゲーム終われ!」←おかん降臨
団「う、わああああ!やられたあああ!!」←コントローラー投げる
三「やっぱり勝利は決まっていたね」←ふう、と汗を拭う
金「団蔵のせいだぞ!途中で三治郎本気にさせたから!!」←全戦三治郎敵全戦全敗
団「しょーがねえだろ!勝ちてえんだもん!」←開き直る
金「何してもいいわけじゃねえよ!ゲームだろうと正々堂々とやるのが勝負であって」
 『はいはーい、喧嘩はそこまでー』←二人の間に入る
団「だってよー!」
 『それよりも、お腹空かないの?今年最後の夕飯は豪華だよー』←にっこり笑顔
金「食べる!」←つられて笑う
き「もう始まってんぞー」←ひらひら片手をあげる
兵「僕も食べるー」←のそのそそちらに向かう
乱「ありえ、しん兄が三人いる…」←ふらふら
伊「それ困るから!」←真面目
庄「違うだろ。乱太郎、これ何本?」←乱太郎の顔の前で手を
乱「いっぽん!」
庄「残念0。酔ってるね」
き「冷静すぎるだろ」←ケラケラ
金「ってか、0って…さすが庄兄…」←若干引いてる
団「俺も飲むー!!」←こたつに飛び込む
伊「未成年が馬鹿言ってんじゃない!!」←再びおかん降臨
虎「お前にはまだ早い!もったいない!」←どーん
兵「後者が本音だろ」←蕎麦ずるずる
三「僕も食べよーう」←お茶をぐびぐび
 『やっとみんな揃ったねー』←喜三太を抱っこしながらこたつに
喜「お姉ちゃんお寿司ー!」←きゃっきゃっ
 『はい、あーん』←お姉ちゃんやってる
庄「お前もちゃんと食えよ」←ちゃっかり隣に座ってる
 『もちろん!ってか、もう年明けちゃうよねえ』←しみじみ
庄「僕らはいつもこんなんだよね」←お酒じゃなくお茶を飲む
伊「団蔵ちゃんと座れえええ!!」←お怒り中
団「伊助ちゃん怖えええ!!」←本気で泣きそう
 『でも、それが私達だよねえ』←ふにゃりと笑う

庄「うん。また来年もよろしくね」



こうして、夜は更けていく。そんな佐武家の大晦日であった。








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