ホウタイ・ドラゴン

□第ニ章/薬とホームレス少女
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「ち、ちぎられてる…。」

焦っている丸刈り男が鎖を調べながらつぶやく。

「鎖がちぎれてるってどうゆうことだよ!普通外れねぇ〜だろ!」
「ペンチとか使って切ったんだろんだろ。」

モヒカン男が冷静に喋る…。
「でも…、ペンチで切った後に見えないし。それに、あの女は両手を鎖で拘束してたんだ。ペンチ何か使えるわけない。」

「じゃあ…、あの女が使えるわけねぇから…。」
「他の誰かがやったってことか。」

黒いTシャツを着た男ががソワソワして喋る。相当あせっているのだろう、ダラダラと汗をかTシャツがビチョビチョになっている。

「ヤベー、早く見つけねぇ〜と。桐谷さんに殺される!」
「だな、早く見つけねぇと!手分けして探すぞ!いいか!ゼッテー桐谷さんには内緒だぞ!わかったな。」
「ああ。」

モヒカン男は他の男達にそれぞれ地域の割り振りをし散らばせる。モヒカン男はどこからか持ってきた、良く学校で見かける椅子に座り考える。

どうやって鎖をとったんだ?簡単にとれるもんじゃねぇぞ!誰かが助けたか、警察が着たか…。

モヒカン男はちぎれた鎖を見る。

俺達が買物している間にあの鎖を切るにはペンチぐらいしかないし…。てか買物っていっても近くのコンビニだ。5分もかかってないのに…。警察だったらまだいるはずだし、犯人を捜すはずだ。

「はぁ〜考えてても仕方がない、捜すか…。」

男はつぶやくと、立ち上がり、橋の下から出て坂をのぼる。

ポチャ!

モヒカン男が坂をのぼった所で、鼻の先に何かが当たる。

ん!?

モヒカン男は空をみあげる。

ザザザザァー

「雨か…。」

男はまた動き出す。





ハァハァハァ…

「さすがに、この状態で街中歩くのは、注目あびるよな…。」

血だらけで裸の少女を街一番のヤンキーが担いでるんだからな…。

龍雅は雨が降る中、必死に歩く。雨は降り始めてからかなり激しくなっている。

「それにしても…。」

誰も声をかけなかった…。こんなに血だらけの幼い子がいるのに…、誰も…近寄って来なかった。助けようとしなかった。

龍雅は雨が降る空を見る

「あぁ…俺の…せいか。」

龍雅は歩きながらうつむく。龍雅から雨が零れる…。

それは雨だったのか涙だったのか…。龍雅以外、その答えは誰も知らない…。




「やっと見えてきた。」

あの橋から20分くらいたって、いつも見ている我が家が見えてきた。龍雅は携帯を取り出すと時間を見る。

「だいぶ時間、使っちまったな…。」

龍雅は舌打ちをして、自分の家の敷地に入る。龍雅の家は普通の一軒家で水色の壁の家。普通の一軒家なので、一人で暮らすには広すぎる家なのだ。

「カギ。」

龍雅はチョコレート色のドアを開け中に入る。中に入ると急いで左のドアを開けリビングに入り、少女をソファーに寝かせる。リビングにはL字のソファーとソファーに対角に超大型テレビがあり、リビングの奥にはオープン式のキッチンが続いている。そんな綺麗な家だが、ソファーだけが血で汚れる。

ひど過ぎる…。

龍雅はソファーに倒れる少女を見ながら思う。少女の怪我は切り傷や打撲あと内出血などで、本来、人間の身体の色は肌色。だが今の少女の身体は、赤いやどちらかと言えば紫だった。この事からも少女がどんな扱い方をされてきたかがわかる。

全然わからねぇ…。何なんだよ[SPIRIT]ってのは!どうして、こいつが捕まってたんだ?

ズルッ!

「ぶっはぁ!」

龍雅は少女のはだけた学ランの下の胸元を見て、思わず吹き出す。顔を赤くしながら少女の学ランを直す。

「こ、こんな時に何興奮してんだよ…。怪我人に興奮っ」

ズルッ!

「ぶっはぁ!」

龍雅はまた吹き出す。

俺もまだまだだな〜…。
女の体まともに見た時ないから…。情けない。

「ちょっと待ってろよ。今道具持ってくるから。」

龍雅はリビングを走り回り、ゴチャゴチャといろんな物を集め少女の横に座る。

「えっと〜、今から治療するんだけど〜。ダメだ、泥がついててちゃんとした治療ができない。とりあえず止血だけでもしておくか。後はこいつが起きてからで…。」

準備ができた龍雅は少女を見て判断する。そして止血をしようと手を伸ばしたところで、龍雅はあることに気づく。

あ、あれ、この学ラン邪魔だな〜。あっ、……………………………………………………………………。

「どどど、どうすりゃ〜良いんだよ!学ランとったら、ははは、裸じゃあねぇ〜か!どうしよう、気絶してる女の子の裸を見るなんて…、最低だ。」

龍雅は神から究極の選択を与えられる。

「早く止血しないといけないのに、しおうとすると…は、裸だし…。しない、てなると…それは絶対ダメだ。ああ、救急車を頼べばよかった。」

己の選択ミスを悔やむ。

「こうやってても、しょうがない!俺は男だ!やってやる!」

龍雅は決心を固め…少女を見る。

お前のためだ許してくれ。

龍雅は顔を赤くし、少女を見ていた目をつぶる。

やばい、頭に血が上る〜。

「よしっ!行くぞ!……………………………ああ…ああ………………ああああああああぁ!お、お、お邪魔します!!!」

何故この言葉が出たか…


龍雅にもわからない…。
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