ホウタイ・ドラゴン
□第一章/包帯とドラゴン
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「クソ〜、7時50分。また遅刻かよ。」
川沿いの空地てでため息をつく少年、水馳龍雅(みずはせ・りゅうが)は、自分のケータイ電話の時計を見つめる。
三人。
朝からこんな人数相手をするのは素でツライ。
「タクッ、何で毎朝相手しなきゃいけねんだよ!」
龍雅はケータイ電話をポケットにしまい、辺りを見渡す。
龍雅の周りには、気絶した人が三人横たわってい
る。
「昨日も遅刻しちまったし…、こりゃー単位やばいかもな。」
龍雅はちゃんとした高校生でしっかり毎日学校に通っているが…。
この頃、かなりの人数と相手するのが多い気がするし、喧嘩する時間も長くなってきたし、街ではもう危険人物扱いだし、最初の時より一段と強くなってるし…、相手が。
龍雅は頭を抱えながらしゃがみ込む。
「あんなことしなきゃよかった…。」
一週間前、どこかの族のリーダーなんか殴らなきゃこんな事にはならなかった。まさかそいつが、ここら辺で一番強いとは…。
おかげで、毎日毎日不良に追いかけられるは、殴った族の頭になるは…。
「俺の、(沢山の友達と可愛い彼女との青春!)と言う夢は、入学して一週間で散って閉まった。」
彼女はできる訳無いし、友達はいるけど悪い友達バッカリ…。
過去を振り返り肩を落とす龍雅の耳にある音が聞こえる。
ブルルルルン!
ブルルルルン!!
聞こえてくる音はバイクの音。
「やばっ!」
聞こえた瞬間素早く逃げようとする龍雅に、一斉に聞き慣れた声達がきこえる。
『アニキ〜!!』
聞こえなかった事にしよう。
「あっ!待ってください!アニキー、アニキー」
せっせと、落ちていたカバンを拾い自分の通学路に帰ろうとする龍雅に慌てて声をかける。
「アニキー待ってくださいよ〜。」
一刻も早く逃げようとする龍雅の周りにに30台以上ののバイクが止まる。先頭ににいた奴がバイクから降り、てこっちに向かってくる。
革ジャンを着た男が龍雅の前で足を止める。
「久しぶりっす!」
革ジャン男は、ヘルメットをとる。そこには見慣れた少年の顔があった。
「また、お前らか…。」
「またって、ひどいですよアニキー。」
「だからアニキって呼ぶんじゃね!」
素で嫌がる龍雅に少しショック受ける少年は一度苦笑するが、すぐに話を変える。
「龍雅さん、今日も喧嘩したんですか?」
「ああ、まぁな。」
「さすがアニキ!3対1でも楽勝っすね!」
「まっ、まぁな。」
したくない喧嘩であってもこうも褒められると照れてしまう。
「アニキ、今日は頼みたい事があるんっすよ。」
急に真剣な顔になって龍雅の目を見る。
「ん、なに?」
褒められたのでとりあえず聞くことにする。
「龍雅さん!俺ら、BIG・タイガーの頭になってくれませんか?」
他の奴らも龍雅に頭を下げる。
「っ!今日はって、それ会う度に頼んできてるじゃあんか!」
そう、BIG・タイガーとゆうのは一週間前俺がぶん殴った奴の族の名前で、こいつらは会うたびに、お願いしてくる。
名前の由来は、もと頭の名前が大橋泰虎と言う名前で、大と虎でBIG・タイガーとゆうわけ…。そして、この少年は宮稀岳斗
(みやき・がくと)でもと副で、現頭である。
「もともとアニキが頭を倒したせいじゃあないすか〜。」
「知らなかったんだよ。てか分からないだろ。普通。」
「わかりますよ!あんなわかりやすい名前してるのに。」
「た、確かに!って、初対面奴の名前なんかしるかー!つか、お前頭になれたじゃあねえか」
本当に単純な名前なので危うくつられると頃だったが何とか踏み止まる。
「そうですけど〜やっぱり族の中に自分より強い奴がいたら、ちょっと気が引けますし。それとアニキは僕の憧れですし!」
「う”、そんな事言ったって族にはならんぞ!」
どうも、俺はあげられやすいタイプらしい。自分でもビックリしてしまうくらいに…。
「絶対ならん!」
そっぽを向いている龍雅に近づき龍雅の目を見つめる岳斗。
「だ、ダメ…ですか?」
「う゛」
強烈な一撃だ。悔しいが岳斗はイケメンでしかもカッコイイのではなくすごく美形なのだ。下手すれば、普通の女子よりも可愛い。こんなので責められると、並の男子だと落ちてしまうくらいの可愛さなのだ!
「ダメ?」
「うおおおおおぉ!」
とどめをさそうとする岳斗。何とか持ちこたえる龍雅。
そんな事をしている間にも、街の風紀委員は動き出す。
ファンファンファン!!
「ヤバッ!警察だ!」
龍雅は誘惑に打ち勝ちそくざに立ち去る。
「あっ!アニキ逃げないでくださいよ!お前等アニキを追うぞ!」
『うっす!!』
一見平和に見える街…
一人の少年は全力で逃げ
…
多数のバイク達は一人の少年を追いかけ…
街の風紀委員は多数のバイク達を追いかける…。
今日も平和な一日が始まる。