長編
□The moon is beautiful
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ガヤガヤと人がごった返す街は、記憶の中の景色とは幾分違っているけれど
視界に入る母国の看板やらすれ違う人々の中にいると帰ってきたんだなぁと実感する
「やっぱり日本は落ち着くっスね」
カフェのウィンドウ越しに外を眺めながら一人呟く
日本の大地に降り立って約二時間
たのんだコーヒーに時折口をつけながら、黄瀬は人を待っていた
待ち合わせ時間から、かれこれ30分は経とうとしている
店内に流れるクラシックの音楽やら時差ボケやら、ほのぼのした空気が手伝って夢の世界への道をつくりかけた時
カランカランと入店を知らせる鈴の音が鳴ると、小柄な日本人の中にいてはやはり目立ってしまう人物二人が入ってきた
「こっちっス〜」
立ち上がってブンブンと手を振ると向こうも気がついたようで、青髪と赤黒い髪をした男二人はこちらを見た
「おー、いたいた」
「よっ、久しぶりだな。黄瀬」
「久しぶりっス!!青峰っち、火神っち」
軽く挨拶をすませ、二人は黄瀬と向かい合って席につく
「もー、遅れるなら連絡ほしいっス!!流石に帰ろうかと思ったっスよ。てゆーか二人一緒だったんスね」
「待たせて悪かったな。青峰から道に迷ったって連絡きてさ。迎えに行ってたんだ」
「しゃーねーだろ。昔と結構景色変わってっし。この店分かりずらい位置にあるしよ」
「青峰っちは高校卒業してからずっとアメリカだったっスもんね…」
まぁ、久しぶりに元気な姿が見れたからよしとしよう