長編

□忠誠を
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「そういえば、結局原稿?の内容ってどんなのだったの?」

もともとソレが聞きたかったんだったと思い出し、尋ねる。

「えっと、簡単に言うとできちゃった婚?って感じかな?」

「…へ?」

指先をちょこんと顎にのせ、思い出すように疑問形で言った言葉を、とっさに理解する事が出来なかった。

「説明すると長くなるんだけど、…………」

と切り出して話してくれる。
予定の計画では
とにかくツナ、つまりオレをに「俺実はハルと結婚する事になりました!!」と言う事から始まるらしい。
もし本当に獄寺君が開口一番にそんな事言ってきたら今日はエイプリルフールだっただろうかとカレンダーを見た事だろう。
いや、凄く嬉しい報告ではあるんだけどね?
あの獄寺君がそんな突然重大発表をするとは思えなうからさ……

で、「実は結婚式が今日なんです」なんて設定でこの会場に連れて来るんだって。
何、その設定。
急すぎない!?
今まで報告もなしに、いきなり結婚式に連れていかれるって。京子ちゃん!!その原稿には無理がありすぎなんじゃない!?

しかも結婚する理由が「実は俺とハルとの子供が……ポッ」って……。
ポッって何!?
獄寺君がポッって言いながら頬を染める姿なんて見たくないよ!?


「で、最後扉の前で種明かしをしてもらって、皆でツッ君を迎える事になってたの」


「ツッコミ処が多すぎて……。いや、何でもないよ……」

笑顔の京子ちゃんを見ていたら、ツナはもう何も言えない。
ハハハと苦笑いをするだけだ。

「あ、でもこのパーティーを開こうって言い出したのは私達じゃないんだよ?」
「え?京子ちゃんやハルが来たから皆集まってるんじゃないの?」

「ううん、私とハルちゃんは招待されてきたの。それに、私達にイタリアに来ちゃダメって言ったのはツッ君だよ?」

あぁ、そういえば…とツナは思い出した。

イタリアに行く日、別れ際に二人に言ったのだ。
「絶対、二人はこっちに来ちゃ駄目だよ?休暇が取れたらこっちから絶対会いに行くからさ。だから二人がオレ達に会いに来たりなんかしたら、オレが許さないから」
ちょっとキツメの口調で言ったのだ。
二人が会いに行くと言ったのを止めるために。
二人はポロポロと泣いていた。
そんな顔見たくなかった。
でも、ここは譲れなかった。
二人がボンゴレの屋敷に来たら、反ボンゴレの奴らに命を狙われるかもしれないから。
そんな危険に合わせたくなかったから。
本心を言えば、会いに来て欲しかった。
優しい笑顔が見たかった。
だけど、二人には平和が
1番だから。
そう思って自分から二人を突き放したのだ。

泣いた二人の顔を見たくなくて、一度も振り返らずに、そこから逃げる様にツナはイタリアに来たのだった。
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