短編

□こうなったら私が嬉しい(願望)
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「なんで」
「どうして」

口には出していないが、皆の表情がそう語っていた


驚きと疑問と少しの希望をごちゃ混ぜにしたような表情

そんな彼等を見ていると堪らなく笑いが溢れてくる

これほどまでに絶望的な状況に、まだ希望を捨てきれずにいるとは
ホントもう笑っちゃう!!

「うんうん、いいね。スッゴく絶望的!!やっぱり最高の希望に満ちているときに絶望の淵に落とすと皆いい顔するよね!」

長い間待たされて超つまんなかったけど、じっくり皆を希望に染めてあげてよかった
見返りがこれなら充分だよ!


「…どうしてなの?」

ん?超高校級の探偵の霧切さんがどうして、なんておかしいよね
探偵なら犯人に理由なんて聞いちゃダメだよ
探偵自身が謎を解いて、見ている人に希望を与える存在なんだから
でも答えてあげちゃおうかな、今はとっても気分がいいし!

「どうして。どういう意味の"どうして"なのかな?
一度希望を見せつけた理由?それとも僕が皆の敵として現れた理由?それとも探偵として、どうして僕が黒幕だって気づかなかったのかっていう自分に対する自問自答?」

質問するならちゃんと主語をつけてほしいよね。最近の子はすぐ文を短縮したがるんだからまったく

「…そうね、全部、かしら」

おやおや?全部ときましたか。もうっ、欲張りさんなんだからっ!

「うぷぷぷぷ。じゃあ教えてあげよっか?











うーん
やっぱ教えてあげなーい!」

説明するのも面倒だよね
探偵さんには自分で謎を解いてもらおう。それがいいよ!!

犯人が自分から真実を語りだすとか、どこの二時間サスペンスドラマだって話だよね。現実はそんなに優しくないんだよ
それに謎がそんなに簡単に解かれちゃったらつまんないじゃん
つーまーんーなぁーい


「あ、じゃあじゃあ!ヒントだけあげるね!

本当の超高校級の絶望は彼女たちってことで合ってるよ?
でも
本物の超高校級の絶望は皆が信じようとしなくても、確実に僕だよ
それは変わりようのない事実だ
そして
超高校級の幸運であり希望であることも、偽りようのない真実だ」

さぁ、ここからが終わりの始まりだ
全ての謎を解こうじゃないか


「これより最期の学級裁判を行います!!」



そう言って、苗木誠は絶望に満たされた希望達に笑いかけた

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