短編

□秘密でお泊り
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とあるお宅のとある一室。
とある子供が夜、眠れずにいた。


(アツイ……)


ここ、日本は今夏真っ盛りである。
窓を全開に開け、布団もお腹に一枚タオルケットを掛けるだけという、これ以上どうやって涼しさを求めたらいいのか、という具合にまで涼しさを追求した状態で、円堂守はベットの上をゴロゴロと動き回る。

ちなみに彼の部屋にエアコンはない。
扇風機ならあるにはあるのだが、この前部屋でサッカーをゲフンゲフン……何か丸い物を当てて壊してしまったのは記憶に新しい。
因みにミッチリ母に怒られたのは言うまでもない。

(あ゛ぁあ゛ぁぁぁアツイ!!!!)

どんな体勢をとってもアツイコトに段々といらだたしさも増し、更に体温が上がってきた。

その時、コツンとナニカが窓に当たる音がした。
今は真夜中で、皆寝静まっている。
気のせいかな、と思っているとまた、コツンと音が響く。

(な、なんだ…?)


お化け、とか?
そう思うとスッと背筋が凍った。
しかし、お化けなんか怖くないと自分に言い聞かし、そっと窓の外を覗く。


「ちろた!?」


見ると幼なじみのちろた、こと風丸一郎太がいた。
思わず名を呼んでしまったが、今が夜だと思い出しパッと口元を塞ぐ。
その声に気づいたちろたも顔を上げると、少し涙目になりながらもパァッと表情を和らげた。




とりあえず親を起こさないようにコッソリとちろたを家に招き入れる。

「どうしたんだよ?ちろたも眠れないのか?」

出来る限り小さな声で会話する。
するとちろたも小さな声で答えてくれた。

「…うん。今日テレビでホラー映画見たら、怖くて眠れなくて……」

聞いていると、どうやら円堂とは違う理由で眠れないようだ。
両親ももう眠りについていて、起こすのも悪い気がして、石を五回投げて円堂が気づかなかったら諦めて帰ると決めてこっちにきたらしい。
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