短編
□青い傘
1ページ/2ページ
嫌な予感は始めからしていたのだ。
帰りに別れたあの瞬間。
昼休み、彼と話したあの瞬間。
校門で会ったあの瞬間。
ずっと嫌な予感がしてた。ずっと警告音は鳴り響いてた。
なのに何故
私は彼を助けるコトが出来なかったんだろう?
授業が終わり、部活へ行く者、帰宅していく者、皆人それぞれの時を過ごしていた。
私はといえば後者で、下駄箱の靴へと手をかける。
トントンと靴を履き一歩踏み出すと、空を見上げる彼がいた。
「ツナ君!」
「あ、京子ちゃん!!京子ちゃんも今帰り?」
「うん!ツナ君も?今日は獄寺君達と一緒じゃないの?珍しいね」
「うん、何か二人とも用事があるんだって。一人で帰るのってホント久しぶりだよ〜」
アハハ、と二人で笑い合う。
そこでふと気がついた。
「あれ?ツナ君、傘は?」
彼の手元を見てもそれらしい物は持っていない。
外はザァザァと雨が降り注ぎ、雲はどんよりとしている。
「アハハ…忘れてきちゃってさ。ほら、朝は晴れてたでしょ?だからつい、ね」
「そっか、だからさっき空見てたんだね」
うん、ホントドジだよね…と眉を下げ頭をかく彼に、私はう〜んと少し前の記憶を振り返る。
そして手に持っていた傘を彼に渡す。
真っ青な青い傘だった。