短編
□夢の続きをくれたのは、あなただけだったよ
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「ーーになってくれないか?」
彼は曇り一つない笑顔でそう言った。
ニカッと白い歯を見せて笑いかけてくれる彼は、僕には触れがたい高貴なものだ。
スッと出された手に、自分の手が吸い込まれそうになるのを抑えつつ、彼に質問する。
「どうして?」
「?」
「僕は君に、君達に酷いことをしたんだよ?沢山酷いことを言った。沢山壊した。沢山傷つけた。沢山、謝っても謝りきれないことをしたんだよ?」
沢山たくさん、迷惑をかけた。
許せないと思ってるでしょう?
怒っているでしょう?
恨んでるでしょう?
なのに、なんで?
キョトンとした表情を見せていた彼は、コクンと首を傾けて少し考えるそぶりを見せる。
それから口を開いた。
「確かに俺はお前がしたことを許せないよ。
大事な仲間を傷つけた。
腹が立っているし、少し恨んでもいる」
ズキリ、と胸が痛んだ。
その痛みはズキズキとそこに蔓延り、息苦しさが増す。
相手の目を見ることなんて、出来ない。そんな資格、僕にはない。
「でもーー」
その時フワリと暖かさが僕を包む。
「そんな泣きそうな奴を、ほっとける訳ないだろ?」
そう、僕は抱きしめられたのだ。抱きしめられているのだ。
彼の腕の中は暖かくて、優しくて、お日様の匂いがした。
「お前がしたことは許せない。でも、俺はお前が好きだよ。
優しくて、頑張り屋で、サッカーが大好きなお前が」
いつの間にかポロポロと涙が出ていた。
留まることを知らないそれは、彼の肩へと落ちていく。
「なぁ
俺と友達になってくれないか?
ヒロトーーー」
「円堂、く」
優しく背中をさすってくれる円堂君の表情は見えない。
ただ、声がとても優しかったのを、僕はずっと覚えている。
僕は返事をする代わりに、彼に腕を回し、声を荒げて泣いた。
あとがき
あれ、これ
円ヒロじゃね?