短編

□誰にも知られずにこの恋が終わっていく
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いつでも見つけてくれた。何処にいても見つけ出してくれた。
だってほら、今日だってーーーーー


「死ね、リボーン!!」
「ウゼェ」
「ぴぎゃぁ!!」




……何があったかは説明しなくとも分かるだろう。
例の如くリボーンにやり返されたのだ。
そんな出来事が起きたのがつい5分前。


「ヒック……負けたんじゃ、ないんだもんね…。オレッチが手加減してあげたからだもんね。ぐす」


今はリボーンにボコボコにされて、一人うずくまりグスグスと泣いている。
顔は涙でグショグショだが、呟く言葉はいたって強気だ。


流石にそろそろ帰らないとママンが心配する、と思いたってゴシゴシと涙を拭き立ち上がる。
そこでハッと気がついた。

(あれ?ここドコ?)



辺りを見回しても見たことがない景色が広がる。
勢いのままに走ってきたので、どうやら道に迷ってしまったようだ。


「ママン…イーピン?」


声に出してよんでみる。
しかしその声に応える者はいなくて。周りに人っ子一人いなくて。

世界には自分一人だけしかいないんじゃないかという錯覚まで起こってきた。

もうすぐ日が落ちる。

どんどん暗くなっていくことが、更にそんな気持ちを強くしていく。

「ランボさんは強いから、なかっ…泣かないんだもんねッ!!!!」

そう言った瞬間、バサリと近くにいた雀が羽ばたいた。
ビクッと反応してしまい、言葉とは裏腹に涙がボロボロとこぼれ落ちる。

「ヒック…ママァン、どこぉぉ?ヒッ…ま、ママン?」


いくら呼んでも誰も来てくれなくて。
怖いこわいコワイコワイコワイ!!!!

もう家に帰れないんじゃないかという考えが頭を過ぎると、どんどん恐怖で頭の中が埋め尽くされていく。
そんな時浮かんだのは、あの人の優しい笑顔。
いつも面倒臭さそうにしながらも一緒にいてくれて、遊んでくれて。
誰よりも暖かい人。
大好きで
大好きな

「ツナァァァ゛……!!」

泣きすぎてガラガラの声で助けを呼ぶ。
ほとんど呟きのようなものだった。
その時、後ろから声がかかる。



『ランボ!見つけた!!』












思えば
あの頃からずっと
僕の初恋は続いているのだ――――










あとがき
ただランボを登場させたかった!!
だって長編とか書いてるとどうしてもランボがサブキャラになっちゃうんだも((((

自分は昔から無意識にツナのことが大好きだったのだと、数十年経ってから気づくランボさん。
が書きたかったのに、なぜか少し路線をはみだしてしまった……!!!!

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