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□デレはかなり貴重。
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「さぁさぁ、呑みなさいや、副長サン」



久しぶりの恋人を前に
俺の気分は最上級だった。



大きな仕事をして、金が入った俺は
愛しい恋人を一泊二日の、短いが
貴重な時間を手に入れた。



「いやぁ〜久しぶりだねぇ
十四朗クン!」



ここ数週間、土方は大きな仕事を抱えていた為に
まともに会えていなかった。


それに耐えかねた俺は
屯所に忍び込み、ジミー君を捕まえ
事前に土方のoff 日を聞き出していた。







ーーーーーーー



「あれ?旦那じゃないですかぁ!!
何してるんです?こんな所で。
勝手に忍び込んたとこ、
副長にバレたら、また怒られますよ?」


「あぁ、だから黙って
俺の質問に答えてくれや」


「え?何ですか?」


「土方がoffの日って、次はいつよ?」


「え、副長のoffの日ですか?
えーっと確か…一週間後だったと思います!」


「おお、でかした、ジミー君!
サンキュー!!」


「あ、いえ。
あれ、もう帰るんですか?
副長なら自室に居ますけど…」


「あぁ、今日はいい。
行ったら殴られて、"帰れ!!"
って言われそうだから」


「まぁ、確かに…」


「あと一週間我慢するよ」





ーーーーーーーーーーーーーーーー





「今日は一泊二日コースだから
楽しもうなぁ、十四朗っ」


「……」


「あれ?どったの十四朗くん」


「何で一泊二日…」


「え?」


「何で、何でお前と
一泊二日一緒にいにゃならんのだ…」


「え?二泊三日のがよかった?」


「んなこと言ってねェエよ!!
何で明日がoffの日に
お前と一泊二日しなきゃなんねんだ!!
俺ァ仕事があんだよボケ!!!」


「はァァァァァア!!??
何ィ!?何言っちゃってんのォオ!?
ここは普通、恋人と一緒に過ごせて
嬉しいっ!って言って
幸せっ!って顔するもんだろォがァア!!」


「うるせェエ!!
offでもなァ、仕事があんだよ!!
溜まってる書類片付けられる
貴重な時間なんだよ!!」


「なにっ、何なのソレェ!!!
お前何なのォオ!?
そりゃさ、真選組の時のお前に
仕事が一番だってこたァ分かってるよ!
たから邪魔してねぇだろォが!!
でも今は違ェだろ!!
今はoffのお前!仕事関係なしの
土方十四朗だろォ!!!
仕事と俺!どっちが大事なんだっ!!」


「真選組だァ!!!」


「…ー!!テンッメ、ふざっけんなよ!
何なんだよテメェっ!!
お前にとって銀さんは
そんなちっぽけで、どーでもいい
存在なんだろ!!バーカバーカ!!
お前なんか知らねェ!!バーカっ!!」


「ちょ、テメ…!!」



もうどーにでもなりやがれ!!
土方のバカヤロー!!


俺はギャーギャー騒ぎながら
酒を呑めるだけ呑み尽くした。










ーーーーーーーーーーーーーーー








「おい、しっかりしろよ銀時…」


「ぅあぁ〜…うっ、十四朗のバァアーカ!!
俺なんか要らねぇんだろ、ちくしょおー。
もう知らねぇっ…う、ヒック、ぅあー
ぎも゙ぢわるい……吐くぅう…」


「なっ、オイお前、
んなとこで吐くなよ!!
もうすぐで万事屋だ。
それまで我慢しろ!」


「だァアっ、触んなぁ!
お前なんかぁ、キライだぁあ…!
バカ十四朗〜!!」


「んだ、テメェ!!
いつまで言ってやがんだ!!
しつっけェんだよ、ボケ!!」


「うっせェエ!!
お前なんかにゃ俺の気持ちは
わかんねぇんだよォ!!
お前なんか知るかァア!!
いーもんね、銀さん女の子と遊んでくる!
じゃあな、糞マヨラー!!」



どうせ、お前は引き止めねぇんだろ。
「あぁ、好きにしろ」って
どうでもいいような顔して
大好きな真選組に帰ってくんだろ。


…って思ったが、今日は違った。


夜の町に向かって、足を進めようとしたら
後ろから思い切り抱きつかれた。


え、ウソ、マジでぇ?
こんな十四朗見たことない、
こんなこと一度もないんだけどォ…。




「…くな…」


「え?」


「行かないで…くれっ…」


「十…四朗…?」


「…まない…すまないっ…!
本当は俺だって、お前に会いたかった…っ
お前と、一緒に過ごしたかったんだ…」


「……」


「……っ、素直に…なれねぇんだ…
すまねぇ…可愛くねー、な…」


「十四朗…!!」


「うわっ!!」



勢いよく振り返り
十四朗を強く抱き締めた。



「お前は、可愛いよ…充分。
ごめんな、俺も悪かった」


「銀…時っ…」


「家…行くか…」


「…あぁ」




人気の少ない真っ暗な夜道を
仲良く手を繋いで万事屋まで歩いた。





















ーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「…ほんとォオ、すいませんでしたァア!!!」


「ざけんなテメェ!!!
何が優しくするだァア!!
激しくしすぎなんだよボケがァア!!
立てねぇじゃねェか!!
どーしてくれんだテメェ!!!」


「ギャアァアア!!!
痛い!痛い痛い痛いィイ!!
ヤメテっ!ヤメテ十四朗くん!!
マジ銀さんハゲるからァァ!!
髪の毛は大事なのォオ!!!」


「うるっせェ、黙れ!!!
だったらさっさと切腹しろォオ!!」


「はァア!?何言ってんのォオ!?
銀さん死んだら、哀しむのは
十四朗くんだからねェエ!?」


「誰が悲しむだァア!!
バカ言ってんじゃねェよ、
いいから早くくたば…っうわ!!」


「うぉおっ!!?」




腰を酷く痛め、立てない十四朗は
逃げる俺の髪を引っ張り
引き寄せようとしたのだが、
バランスを崩した十四朗は
俺の上に倒れこんだ。



「あ…あら?大胆だねェ、十四朗くん」


「違ェよボケ!!バランス崩しただけだ!
つか離せ!!」


「えーやだよ、勿体ない。
せっかくトシから来てくれたのに」


「だーまれ!!!!
気持ち悪ィんだよ糞天パ!!
死ね!切腹し…んんっ!?」



隙を狙って、十四はを引き寄せ
深くキスをした。



「んっ、んんぅ…っは…!はぁ…はぁ
にっすんだ、テメェ…」


「でも気持ちよかったでしょ?
十四朗…」


「なっ、…んな目で、コッチ見んな!!」


「トシ…抱きたい…」


「っ…」



耳まで真っ赤にした十四朗は
チッと舌打ちをして
俺に抱きついた。




「好きに…しろ…」


「…うん…好きにする…」




銀さんの恋人は、
真選組の鬼の副長
「土方十四朗」


いつも瞳孔開きっぱで
煙草ばっかり吸うニコ中で
バカみてーなマヨラー警察。

ツンツン、ツンツンしてて
マジかっわいくねぇ!!

でも、ツンツンしたあとに見せる
デレに、銀さんは萌え萌えです。


全部含めて、十四朗が好きだ。



俺にしか見せない
俺しか知らない


土方十四朗…。







ーENDー











 

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