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□いまさらの初夢(大人編…作者:よしき)
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「それじゃ、改めて新年を祝おうか」
           
「そうですね」
           
 見つめあいながら、ワインを注いだグラスを軽く打ち合わせる。
           
「今年もよろしくお願いします、雲雀さん」
           
「恭弥」
           
「は?」
           
「今年からは、名前で呼んだら?」
           
「いきなりなんなんですか」
           
「ぼくは、綱吉、と呼んでいる」
           
「それは・・・そうですけど」
           
「・・・恥ずかしい?」
           
 コクリと頷く綱吉に、雲雀は笑う。
           
「なら、よけいに名前で呼ばせたいね」
           
「うう・・・・」
           
 唸ってみても、雲雀は笑っているだけだ。
 グラスを置いて、腿に頬杖をついて綱吉の顔を覗き込むようにしている。
           
「いい加減覚悟を決めたら?」
           
「・・・・・・」
           
「そんなにいや?」
           
 少しだけ不安が混じったような雲雀の声に、綱吉はぎゅっと目を瞑った。
 そして、顔を上げるなり怒鳴る。
           
「恭弥さんの、意地悪っ!」
           
 真っ赤な顔で自分を睨む綱吉に、恭弥の目は丸くなった。
 そして、ほっとしたように笑みを浮かべる。
           
「よくできました」
           
「あ・・・」
           
 かすめるようなキスに、綱吉が小さく声を上げた。
           
「どうしたの」
           
 自分の中に熾った熱に、綱吉は慌てた。
           
「もしかして、もっと欲しい?」
           
「そっ、そういうわけじゃ・・・」
           
「そう?」
           
 言いながら、雲雀の指が綱吉の唇をなぞる。
 綱吉は、ふるっと体を震わせた。
           
「雲雀さん・・・」
           
「だめ、名前で呼んで」
           
「き、恭弥さん、おれ・・・」
           
「うん」
           
 恭弥の唇が綱吉のそれに重なる。
 誘うように薄く開いた歯列を割って恭弥の舌が潜り込んでくると、綱吉の体は熱くなった。
 何度も経験した行為が、簡単に綱吉を追い上げていく。
           
 服の上から綱吉の体を撫で回していた雲雀が、不意に顔を上げた。
           
「ひ・・恭弥さん・・・?」
           
「すごい、蕩けそうな顔してる。いやらしいね、綱吉は」
           
「恭弥さんこそ、新年早々こんな・・・」
           
「こんな、何?」
           
「せ、セクハラおやじみたいなことして」
           
「へえ、そんなに苛められたいんだ」
           
「ちょっ・・恭弥さん、どこ触って・・・」
           
「セクハラは、相手が嫌がるからハラスメントになるんだよ。
なら、きみが楽しめれば問題ないだろう?」
           
「それは屁理屈ですよ!」
           
「ああ、そういえば、ねえ綱吉」
           
 喘がされながら、綱吉は雲雀を見た。
           
「男同士の場合は、なんて言うんだろうね」
           
「なにがですか」
           
「姫初め」
           
「恭弥さん!!」
           
 綱吉の叫び声は、雲雀の胸に吸い込まれていった。
           
           
 恋人同士の平和な一年は、こうして始まったのである。
           
           
End
           
           
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