MAIND[小説]
□休暇願いは命がけ(大人編…作者:たこすけ)
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「……だからさ、……」
ここはリボーンのプライベートルーム。
イタリア最大のマフィア・ボンゴレ居城の中で、ボスよりも広くて立派な部屋だ。
その部屋の主は長い足を机の上に乗せ、ふんぞり返っている。
書類を手にして、1度も顔をあげない。
前に立っているのが、10代目ボンゴレボスの沢田 綱吉。
リボーンはその綱吉の家庭教師だ。
師弟関係にあるとはいえ、ボンゴレという巨大組織の中では、ボスである綱吉の方が上のはずなのだが……。
綱吉はこの最強最悪の家庭教師様には逆らえない。
逆らったらどうなるか……。
想像しただけでも命が縮まる思いだ。いや、縮まるどころではなかった。
命は無い―――。存在そのものがなくなる。
しかし――。
今日は何が何でも、お願いを聞き届けてほしい。
休暇をもらって日本へ里帰りしたい彼は、リボーンの部屋へやってきた。
ボスに就任してから、個人的な休みは、ほとんどもらえない。
クリスマスや年末年始も申請したが、すべて却下。
今まで日本に帰れたのはごくわずかだ。
母の奈々に頼みこんで、彼女から言ってもらったこともある。
奈々もなかなか会えない息子が恋しく……?
『ツナは元気にやっているわね。
だって、リボーンちゃんがついていてくれるから安心!!』
大人の体に戻ったリボーンを今だに、"リボーンちゃん"と呼ぶ奈々は、ある意味すごい女性なのかもしれない。
とにかく前向きで、宇宙のように心の広い持ち主だ。
綱吉は母にも勿論だが、恋人である最強の守護者・雲雀 恭弥に会いたい。
しかし、雲雀は群れるのがいやで、自分からボンゴレの城へは来てくれない。
匣兵器とリングを求めて世界中を飛び回っている。
だから、綱吉が休暇を取ったからといって、会えるとも限らないのだが。
こちらの休暇を知らせれば、相手もなんとか合わせてくれるのではと、密かに期待しながら……。