MAIND[小説]
□星空の下で逢いましょう10(パラレル編…作者:たこすけ)
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【設定】
沢田 綱吉…秋篠大1年
雲雀 恭弥…会社経営23歳
六道 骸……恭弥の会社の社員。恭弥とは腐れ縁。
入江 正一…芝田工科大1年。旅行先で知り合った。
白蘭 ………入江と同じ大学仲間
※思い出の地、並盛へお泊まりもして、順調に付き合っている2人ですが……。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
「……ええと、こっちか」
声に出してしまい、慌てて口を抑える。
誰もいなかっただろうかと、辺りを見回した。
いないことにホッとした綱吉は、棚と棚の間の狭い通路を再び歩き始めた。
大学構内にも図書館はあるのだが、あいにく彼の探している本がなく、
近くの公立の図書館へ来ていた。
綱吉の通っている学校のまわりには他大学もあるので、
テスト前や卒論の時期になると混みあう。
以前、旅行先で会った入江の芝田工科大や、合コンした笹川の妹がいる女子大のキャンパスもある。
今は昼間の時間とあって、さほど混んではいない。
教授が研修会で休講とななり、空き時間を利用して、こちらへやって来たというわけだ。
棚を見上げ、メモと確認する。どうやら見つけられたようだ。
しかし、自分よりだいぶ上にある。
少しつま先立ちになり、右手を伸ばす。わずかに本の背が指先に触れた。
「……ん、ん……」
触れるだけで本を引き出すことができない。
かかとを下ろし、ため息をついた。
自分の背の低さには、今更どうこう言っても仕方ないのだが……。
付き合っている恭弥はスラリとして、背が高い。
頭ひとつ分くらいの差があり、会話をする時は上を向く。
自分ももう少し彼の目線に合うくらいになればと、いつも思う。
だから……、キスをする時は彼が少し屈み、綱吉はかかとをあげる。
これは余談だが―――。
再度背伸びしてみたが、ダメそうだ。
諦めて、踏み台を持ってこようとすると……。
ひょいと本を取ってくれた人がいた。
「これですか?」
綱吉は相手を見た。