MAIND[小説]

□星空の下で逢いましょう10(パラレル編…作者:たこすけ)
1ページ/14ページ



【設定】

沢田 綱吉…秋篠大1年

雲雀 恭弥…会社経営23歳

六道 骸……恭弥の会社の社員。恭弥とは腐れ縁。

入江 正一…芝田工科大1年。旅行先で知り合った。

白蘭 ………入江と同じ大学仲間

※思い出の地、並盛へお泊まりもして、順調に付き合っている2人ですが……。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞



「……ええと、こっちか」

 声に出してしまい、慌てて口を抑える。
 誰もいなかっただろうかと、辺りを見回した。
 いないことにホッとした綱吉は、棚と棚の間の狭い通路を再び歩き始めた。

 大学構内にも図書館はあるのだが、あいにく彼の探している本がなく、
近くの公立の図書館へ来ていた。
 綱吉の通っている学校のまわりには他大学もあるので、
テスト前や卒論の時期になると混みあう。

 以前、旅行先で会った入江の芝田工科大や、合コンした笹川の妹がいる女子大のキャンパスもある。

 今は昼間の時間とあって、さほど混んではいない。

 教授が研修会で休講とななり、空き時間を利用して、こちらへやって来たというわけだ。


 棚を見上げ、メモと確認する。どうやら見つけられたようだ。
 しかし、自分よりだいぶ上にある。
 少しつま先立ちになり、右手を伸ばす。わずかに本の背が指先に触れた。

「……ん、ん……」

 触れるだけで本を引き出すことができない。
 かかとを下ろし、ため息をついた。
 自分の背の低さには、今更どうこう言っても仕方ないのだが……。

 付き合っている恭弥はスラリとして、背が高い。
 頭ひとつ分くらいの差があり、会話をする時は上を向く。
 自分ももう少し彼の目線に合うくらいになればと、いつも思う。

 だから……、キスをする時は彼が少し屈み、綱吉はかかとをあげる。
 これは余談だが―――。

 再度背伸びしてみたが、ダメそうだ。
 諦めて、踏み台を持ってこようとすると……。
 ひょいと本を取ってくれた人がいた。

「これですか?」

 綱吉は相手を見た。

           
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ