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□床払い(大人編…作者:たこすけ)
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書院造りの屋敷の最奥に風紀財団の主、雲雀恭弥の寝室がある。
3日間程、自宅療養していたのだが、今日、床上げをした。
着流しのまま、クローゼットのある隣室へ向かう。
部屋に備え付けのシャワールームで軽く浴び、バスローブをはった。
冷蔵庫からミネラルウォーターを出し、デスクにある書類にざっと目を通す。
不在の間、差し当たって重要なことはなかったらしい。
再びクローゼットに向かい、シャツとスーツをハンガーごとバサリとソファーに置いた。
糊のきいたシャツに袖を通すのもおよそ10日ぶりであった。
鏡の前でタイをしめ、上着を手にする。
"みーどりーたなーびく………、"
着信音が部屋に響き、上着の内ポケットから携帯を取り出す。
通話ボタンを押すと、聞き慣れた声がした。
『ヒバリさん!風邪ひいたんですって?』
「君……、なんで知っているの?」
雲雀はこういったことは昔から知らせない。
『そりゃあ腐ってもボンゴレのボスですから!!
って、なに自分を下げるようなこと言ってんだよ、オレは』
「クス……。相変わらずだね、綱吉」
いつもの調子の声を聞いて安心したのか、思わず苦笑いをした。
『それより、ひどいんですか?体、大丈夫ですか?』
「たいしたことないよ」
しばらく沈黙があった。
雲雀はいぶかしげに眉を寄せ、綱吉……?と、尋ねた。
『うそつき……。オレ、知っているんですよ。
肺炎になりかかって先週まで入院してたんですって?』
「……。まさか哲が?」
草壁が漏らしたとは考えにくいが、もしそうだとしたらただではおかない。