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□エスコートはおてのもの(パラレル編…作者:たこすけ)
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「君がボディーガード?」
           
「はいっっ!!沢田と申します!!」
           
 一流ホテルのスイートルームで、面接試験さながらの顔合わせから話は始まる。
           
 雇い主は有名な貿易会社の嫡男・雲雀恭弥、かたや民間の警備会社から派遣された沢田綱吉。
 雲雀家は日本人だが、父親の仕事上、香港に在住している。
 3日後の母親の命日で、先に日本へ帰国していた。
           
           
「君、バイト?まさか中学生ってオチじゃないだろうね」
           
「い、いいえ!!正社員で今年25になります!!」
           
 綱吉は頭を下げながら、
           
           
なんつー失礼な人だ……。
親類だかなんだか知らないけれど、なんでコイツにこんなこと言われなきゃならないんだよ。
           
           
などと、少しムッときていた。
 向かいの相手は若いらしいが、偉そうにソファにどっかりと座っている。
 漆黒の髪に黒曜石の鋭い瞳をした青年(?)だ。
           
 しかし、今は大切なお客様。
 綱吉はにへらと営業用の顔で笑った。
           
「あ、あの……。それで本日より3日間、子守…、
いえ、エスコートを頼まれましたお坊ちゃまは……?どちらにいらっしゃるので…?」
           
「君の目の前にいるのがお坊ちゃまだよ」
           
「……え、え、え!!だ、だって5歳って……」
           
 さっきまで綱吉が持参した書類に目を通していたが、あきれたようにテーブルへバサリと置いた。
           
「失礼だね。幼稚園児だと思ったのかい?僕は15歳だ。
第一、護衛をする相手のデータくらい把握してないの?」
           
「ハハハ……、実は早朝に、急きょ交代だとかで、連絡が入りまして。
慌てて駆け付けた次第なんです」
           
「いい加減だな、君のところの警備会社は。契約は破棄させて……」
           
「い、いや、あ、あの!!少々お待ちください!!」
           
 綱吉は慌ててポケットから携帯を取り出し、ちょっと失礼いたしますと部屋の隅で、こそこそと電話を始めた。
           
「リ、リボーン所長!!沢田です。
今日のお相手は確か5歳のお子様だというお話でしたよね。
思いっきり違いますけれど!!15歳ですけれど!!」
           
『あー!?……ああ、間違ったわ。2ケタ目の1を見落とした』
           
「って、どーするんですか?」
           
『仕方ねーなぁ。頑張れ!!』
           
「が、頑張れって!!オレは“エスコート”しかやったことありませんよ!!」
           
『とにかく、頑張れ!!ワンランクアップのチャンスだゾ』
           
「そ、そんないきなり……」
           
『おい、契約破棄にされて、信用を落とすようなことになったら、テメーわかっているだろうな……』
           
 電話の向こうで何やらチャキと冷たい金属音が聞こえた。
 ピッと携帯を一方的に切られてしまい、綱吉の顔がさぁぁ〜と青くなった。
           
           
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