MAIN@[小説]

□逢魔が時3(パラレル編…作者:たこすけ)
1ページ/6ページ

           
           
           
「あああ〜、またやっちゃったよぉ〜」
           
 綱吉はコントローラーをポイッとベッドに投げ出し、自身もゴロリと横になった。
 勇者・ツナはどうにもこうにも妖魔の森を抜け出せない。
 必要なアイテムも揃えたし、魔術師や召喚士に剣士といった仲間も増えた。
 戦い方も攻略本の通りにやっているつもりなのだが、その仲間は次々にやられ、ゲームオーバーになってしまう。
 友人の山本や獄寺は森を抜け出して、2ステージも先の砂漠の迷路へいっているというのに。
           
           
 手足を投げ出し、天井を見つめた。
           
「後で山本に聞いてみようかなぁ。何がいけないんだろ……」
           
 兄の恭弥もゲームはやるが、綱吉ほど夢中ではない。
が、綱吉より強い。
           
 勉強も運動も出来るから、不得手なものはないのだと、単純な綱吉はそれで納得していた。
 恭弥に聞けば一発でわかるのだろうけれども、受験勉強でそれどころではないはずだ。
 そんなくだらないことで邪魔はしたくない。
           
           
勇者・ツナもオレ同様、ダメダメなのかなぁ……。
           
           
 真冬にもかかわらず、今日は一日を通して暖かかった。
 その陽気のせいか、ベッドに横たわっている綱吉は、うつらうつらしてきた。
           
           
 時刻は午後4時を回っていた。
           
           
 一方、キッチンでは――。
           
「はい、お兄ちゃん。リクエストのおにぎり」
           
「……うん、サンキュ」
           
 奈々はお弁当とお茶の入った水筒を恭弥へ渡した。
           
「帰りはやっぱり10時すぎ?」
           
「うん」
           
「あんまり根詰めないでね」
           
 土曜の今日は夕方から塾がある。
 高校受験を控えている恭弥はいよいよ追い込みだ。
           
「車に気をつけるのよ。あ、まだ2階へ行く?」
           
 奈々は夕飯の下ごしらえで手を動かしながら尋ねた。
           
「なに?母さん」
           
           
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ