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□逢魔が時3(パラレル編…作者:たこすけ)
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「あああ〜、またやっちゃったよぉ〜」
綱吉はコントローラーをポイッとベッドに投げ出し、自身もゴロリと横になった。
勇者・ツナはどうにもこうにも妖魔の森を抜け出せない。
必要なアイテムも揃えたし、魔術師や召喚士に剣士といった仲間も増えた。
戦い方も攻略本の通りにやっているつもりなのだが、その仲間は次々にやられ、ゲームオーバーになってしまう。
友人の山本や獄寺は森を抜け出して、2ステージも先の砂漠の迷路へいっているというのに。
手足を投げ出し、天井を見つめた。
「後で山本に聞いてみようかなぁ。何がいけないんだろ……」
兄の恭弥もゲームはやるが、綱吉ほど夢中ではない。
が、綱吉より強い。
勉強も運動も出来るから、不得手なものはないのだと、単純な綱吉はそれで納得していた。
恭弥に聞けば一発でわかるのだろうけれども、受験勉強でそれどころではないはずだ。
そんなくだらないことで邪魔はしたくない。
勇者・ツナもオレ同様、ダメダメなのかなぁ……。
真冬にもかかわらず、今日は一日を通して暖かかった。
その陽気のせいか、ベッドに横たわっている綱吉は、うつらうつらしてきた。
時刻は午後4時を回っていた。
一方、キッチンでは――。
「はい、お兄ちゃん。リクエストのおにぎり」
「……うん、サンキュ」
奈々はお弁当とお茶の入った水筒を恭弥へ渡した。
「帰りはやっぱり10時すぎ?」
「うん」
「あんまり根詰めないでね」
土曜の今日は夕方から塾がある。
高校受験を控えている恭弥はいよいよ追い込みだ。
「車に気をつけるのよ。あ、まだ2階へ行く?」
奈々は夕飯の下ごしらえで手を動かしながら尋ねた。
「なに?母さん」