MAIN@[小説]

□いまさらの初夢(大人編…作者:よしき)
1ページ/2ページ

           
           
           
新年。
           
新たなる年。
           
すべてが真っさらになる年。
           
           
ボンゴレ本部もまた、気持ちを新たにする者たちであふれている。
           
           
           
「新年おめでとうございます、10代目!」
           
 食堂に響く獄寺の声に、綱吉は笑う。
           
 彼の後ろには、他の守護者も揃っており、口々に新年の挨拶をしてくれる。
           
「みんな、おめでとう。今年もよろしくね」
           
 綱吉の言葉に、こちらこそ、まかせろ、などなどの応えが返る。
           
 イタリア在住とはいえ守護者はみな日本出身であり、この挨拶はやめられずにいた。
           
「ところで、雲雀はどうしたのだ」
           
「騒がしいのは、いやだからって」
           
「ははっ、らしいのな」
           
「ふざけた野郎だ、引きずり出してやる」
           
「い、いいよ獄寺くん、新年早々暴れないでよ」
           
「雲の人もそうだけど・・・骸様もいないのに・・・」
           
「きっ、気にしないでクローム!君がいてくれれば、大丈夫だから」
           
「毎年毎年同じこと言ってんじゃねーぞ、おまえら!」
           
 こうして、ボンゴレファミリーの一年は始まるのである。
           
           
           
 仲間たちと挨拶を交わしたあと、綱吉は独り本部の東翼にある雲雀の部屋へ向かっていた。
 賑やかな西翼とは違い、こちら側は雲雀が居を構えたせいかとても静かだ。
           
 綱吉の自室もこちらにあるが、滅多に会わないのは雲雀がしょっちゅう出歩いているからだった。
           
           
(月の半分以上留守にしてるんだもんな)
           
           
 心の中で呟くだけにするのは、雲雀の行動が綱吉のためだとわかっているからだ。
           
 なんだかんだといっても、雲雀は綱吉がいるボンゴレを仲間と認めてくれている、はずだ。
           
           
「雲雀さん、おれです」
           
 ドアをノックして声をかける。
 以前、ノックだけで待っていたときに、ドアごと吹き飛ばされたことがあるので、声をかけることは忘れないようにしている。
           
「入っていいよ」
           
 許可を得て中へ入った綱吉を、雲雀は不機嫌そうな顔で迎えた。
           
「遅かったね」
           
「すみません、向こうで盛り上がっちゃって」
           
「今朝、新年最初にぼくに挨拶に来たことは評価するけど、そのあと彼らと群れたことは面白くないな」
           
「そう言われても・・・みんな仲間ですし」
           
「そうじゃなかったら、全員咬み殺しているところだよ」
           
「少なくとも骸はいなかったので、勘弁してください」
           
 冗談にならない言葉に、綱吉は苦笑しながら応える。
 雲雀と骸の相性の悪さは、今に至るも解消されていないのだ。
           
「・・・まあ、いいや」
           
 あっさりと態度を変えて、雲雀はソファに腰を下ろした。
 そして、綱吉を手招きする。
           
「もうゆっくりできるんだろう?」
           
「ええ、今日はさすがに仕事も入ってませんし」
           
 答えながら綱吉は雲雀の隣に座る。
 ローテーブルには、アイスバケットに入ったワインのボトルと、グラスが2つ置かれていた。
           
           
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ