MAIN@[小説]
□初詣はお着物で(大人編…作者:たこすけ)
1ページ/3ページ
日本の並盛―――。
ここは風紀財団、恭弥のプライベートルーム―――。
年明けの2、3日となんとか休暇をとって、綱吉はイタリアからはるばる日本へ里帰りしていた。
ただいま帰りましたとあいさつもそこそこに、恭弥の部屋に連れてこられた。
昼間っから?と綱吉は勘違いしたほどに、着てきたコートやスーツもあっという間に脱がさた。
そして側に置いてあった漆塗りの箱に入れてある着物を手際よく着せられた。
一息ついた恭弥は黒の羽織と帯に紺地の着物といったシックな装いである。
一方、向かいにいる綱吉はというと……。
「ヒバリさん、この着物……?」
「うん、よく似合っているよ」
「そーですか……。じゃ、なくってっ!!」
博多帯に小田巻きの帯締め、所々薄紅色に染めあげられた小さな椿の花柄のアンサンブルを着ている。
(ていうか、ムリヤリ着せられた。)
全体的に落ち着いた雰囲気で、要するに恭弥好みの着物である。
「さすが僕が見立てたことだけはあるよ」
「そーですね……。じゃ、なくってっ!!」
恭弥は綱吉の袖を手に取り、満足げだ。
「この染め具合なんて腕のいい職人でもなかなか出せないらしいよ」
「そーらしいですね……。じゃ、なくってっ!!」
「初詣までには間に合わせたかったからね、良かったよ」
「良かったですね……。じゃ、なくってっ!!」
つっかかる綱吉に穏やかな気分に浸っていた恭弥がさすがにムッときたようだ。
「なに、さっきから。僕があつらえたアンサンブルに何か不満でも?」
「大いに不満ですよ!!これって女性用の着物ですよね?明らかに!!
オレは男なんですけど!!」