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□聖なる夜に見る夢は(大人編…作者:よしき)
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「12月24日午後11時M市F広場」
約束の時間に遅れないよう、綱吉は屋敷を出た。
中ではまだパーティーが続いている。
本当なら、招待側の綱吉が抜けることなど許されるはずはない。
だが、先日までの落ち込みを見ていた仲間たちは、あとのフォローは任せろと言ってくれた。
脱走の理由はともかく、彼らの大事は綱吉の笑顔なのだ。
(にしても・・・)
雪になりそうな空を見上げて、綱吉は今朝届いたメールを思い返す。
「歩いておいで」
たったそれだけのメールは、雲雀からのものだ。
待ち合わせに指定されたF広場は、確かに歩いていける距離にある。
郊外の本部ではなく、街中にある屋敷でパーティーが開かれることを雲雀も知っているからこその指示だろう。
市の境を越えれば、広場は目の前だから。
だが、歩いて来いという指示は問題だった。
綱吉本人はそう心配もしていないが、彼はボンゴレのトップとして命を狙われかねない立場にいる。
現に獄寺は猛反対した。
それぞれが、綱吉を行かせたいのと心配なので戸惑う中、ゲストで来ていたディーノが笑い声を上げる。
「おまえら、心配しすぎだ」
「ディーノさん?」
「考えても見ろ、あの恭弥が、何の手も打たずにツナに歩いて来いなんて言うと思うか?」
「それじゃあ・・・」
「街には懐かしの風紀委員たちが散らばってるに違いないさ」
その一言のあまりの説得力に、仲間たちも綱吉が護衛なしで出かけることを認めたのだった。