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□星空の下で逢いましょう(パラレル編…作者:たこすけ)
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ああ、とんでもない所に来てしまったものだと彼はため息をついた。
トンネルをくぐり、山を越え、川を渡り、ここは彼が住む所から軽く2つの県を通り越し、
駅員さえもいない、いわば無人駅に降りてしまったのである。
盛大なため息をついた彼は雲雀 恭弥といった。
大学からの腐れ縁でもある六道と新元で飲んだ帰り、
乗った電車がいつものではなく、まったく別のホームからので、
それも座席が向かい合わせという固定式クロスシートのローカル列車に乗ってしまったのである。
彼はそんなに酔っていた自覚はなかったが、今置かれている状況では瞭然たる事実だ。
ハッと気付いた瞬間に一体ここは何処?と飛び降りてしまったのである。
並盛駅――。
並盛といえば確か、東京から3時間かかるところだ。
急行もわずか朝と夕に1本ずつ、あとは鈍行でそれを逃すと次のまで相当待たなければならなかった。
今の時刻は午後11時30分。
恭弥はチカチカと音が鳴る蛍光灯の下で時刻表を睨んでいた。
既に電車はなく、どうやらさっき降りたのが終電だったらしい。
上りももちろん、ない。
どんだけローカルなんだと思い、ごみ箱にガツンと八つ当たった。
駅舎から外へ出てみると、ロータリーらしきものはあるが、閑散としていた。
バスをわずかに期待したが、……終バス、午後8時00分。
といってもバスは1日5本のみ。
タクシーは、ない。
コンビニは、ない。
はたして昼間開いているのか疑問に感じるくらいの古めかしい店(並盛商店と看板に書かれた文字がかろうじて読める)は
もちろんトビラが固く閉ざされている。
まるでよそ者を拒むかのように。