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□雨やどり(マフィア編…作者:よしき)
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「雲雀さん」
使われていない小屋の中に向かって、綱吉は声をかけた。
夜中に降り出した雨を、何とかしのげるだろう小屋には、錆びた農具や乾ききった藁が散らばっている。
「いるのはわかってますよー」
応えのない空間に、再び声をかける。
外れかけた戸をよけながら、綱吉は一歩中に入った。
「みんな心配してますよお」
それでも返事がないとみると、綱吉は盛大なため息をついた。
「獄寺くんは半分ニヤけながらですけど」
言って、反応を見る。だが、やはり応えはない。
「骸なんて、真っ青になってましたよ」
今度は空気が動いた。
一番奥の薄暗がりに、立ち上がる人物がいた。
「・・・・・ありえないことを」
「気持ち悪くて、黙っていられないでしょう?」
そう言って手を差し伸べると、相手がそれを取った。
「どうして来たんだい」
「雲雀さんが戻って来ないからですよ」
「ぼくが消えるのは、今に始まったことじゃないだろう?」
「仕事の時は別ですよね」
安全そうな椅子を見つけて、綱吉は雲雀に座るよう示す。
珍しく従った雲雀は、疲れきった様子で足を投げ出した。
「自分のミスで怪我したら隠れる、ってのはやめて欲しいんですけど」
「怪我なんかしていないよ」
「本当にそうなら、帰ってますよね」
救急箱持って来たんです、と綱吉はバッグを開けた。