夢・旅
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どれくらい経ったか。
陽はまだ高いが、山の麓に辿り着いた。
思いの外早かったな。
これもひょっとこが山に慣れているからだろうな。
俺の後を着いてくるどころが、案内を買って出るくらいだ。
まぁ、ひょっとこにとっては、庭みたいなもんか。
目の前を舞うように下っていくひょっとこに目をやり、声を掛けた。
「おーい、ちょいと休憩しようや」
ひょっとこは、くるりと綺麗に半円を描き振り返る。
「うん!」
その動きに見合った快活な返事も返ってくる。
元気だな…。
立派な古木の根元に、荷物を放り出して座り込む。
水を一口、二口と喉奥に流し込むと、ようやく一息つけた。
「おまえも飲むか?」
「うん。ありがとう」
うまそうに水を飲むひょっとこを横目に、俺は考えを巡らせた。