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□牢屋の中の姫君
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そこには倒れたグレイがいた。


「ッグレイ・・・・!!!」


ナツはすぐにグレイの元へと駆け寄り、グレイの体を抱きしめた。
グレイを抱きしめたとき、まだ人の温かなぬくもりを感じてとりあえず安心する。

「グレイ!!おい、起きろよ!!」

「んっ・・・ナ・・ツ・・・?」

眠そうにグレイは目を開けながら、グレイはナツの名を呼んだ。

「グレイッ!!」

「んな顔・・してんじゃねーよ、ばーか・・・」

「でもッ!!オマエボロボロで・・・!!」

「俺は大丈夫だっての・・・泣きそうな顔してんじゃねーよ。バカナツ」

顔は笑ってはいたが、グレイは喋るのもとても辛そうにさえ見えた。
グレイの体の方をチラッと横目に見る。
ナイフに刺されたような痕があり、生々しく傷が残っていた。
ところどころに赤い痕もあり、何をされたのか分かってしまう自分に腹が立つ。











グレイを護れなかった自分に










グレイをこんな目にあわせてしまった自分に・・・








「・・・ツ?ナ・・・ツ?」

グレイが心配そうな目でみてくる。


そんな顔してんじゃねぇよ・・・
傷ついたのはお前なのに・・・!!




「・・・ゲホッゲホッ・・・!!」


「グレイ!!」

ナツはルーシィから渡されたものを思い出し、自分の腰ポケットから取り出す。

”いい?もし、グレイが怪我をしていたときはコレを使って
 絶対無くしちゃダメだからね!!?”


・・・ギルドに帰ったらルーシィに礼言わねーとな


ルーシィの気遣いに感謝しつつ、グレイの体を傷つけないように丁寧に手当てをしていく。

「ふぅ・・・終わった・・・」

一通りの処置をし、ナツは汗を手で拭う。


グレイはあいかわらず苦しそうだったけど、さっきより表情が穏やかになっていた。

グレイが震える右手を伸ばし、ナツの頬に優しく触れる。


「ナ・・・ツ・・・」


ナツはその手をしっかり掴み、「なんだ?」とたずねた。







「ありがと・・・・な」



グレイは小さな声でナツに礼を言った。
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