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□牢屋の中の姫君
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「クッソ・・・これ全然はずれねぇ・・・
 どうすりゃいいんだよ?」


ウォーレンが去ってからグレイは手錠を解くことに苦戦を強いられていた。
魔法を使えなくする手錠・・・
おそらく魔法が使えなくなる魔法がこの手錠にかかっているのだろう。
こういった魔法はちょっとのことじゃ中々はずれてくれない面倒なモノだ。


多分さっきのはナツだ・・・
せっかくナツが来てくれたのに俺がこんなんじゃあ俺を見つけんのにどんだけ時間がかかるか・・・
こーいう魔法ってなんか弱点なかったか?



そーいや、かなり前に俺とルーシィで魔法を教えに行くクエストに行ったとき・・・

”いーい、みんな
 こういう魔法をかけられると魔法が使えなくなるの
 そういうときは魔法を限界まで出せばたまに壊れることがあるんだけど
 それはとっても危険なことだからゼッタイしちゃダメよっ!!”

それだ・・・!!
魔法を限界まで出すのがどれだけ危険かは分かっているつもりだ。
しかし今はそんなこと言ってる場合じゃねぇ!!

グレイはすぐさま行動に移すことにした。

手を重ねあわせ、集中する。


すると、見えないはずの魔法がオーラのようになりグレイを包んだ。

まだだ・・・まだ足りねぇ・・・
もっと、俺の全てを・・・!!

「うおおぉぉぉおぉぉおぉッッ!!!」

ピキッ・・・

グレイの手につけられていた手錠にヒビが入り、少しずつ壊れていく。

よしっあと少しだ・・・!!!

突然、グレイの視界が揺らめく。

クソ・・・もう限界かよ・・・!!!

消えていきそうな意識を無理矢理起こし、魔法を出すことに集中する。

あと少し・・・あと少しなんだ・・・!!!



パァン・・・・

手錠が壊れるのと同時にグレイはその場に倒れこむ。
なんとか立ち上がろうとするが、魔法を限界まで出し、もう魔力も体力も残っていない。

せっかく手錠壊れたのにな・・・
はは、これじゃあ意味ねーや・・・









消えそうな意識の中、自分を助けに来たものの名前を小さく呼ぶ。








「ナツ・・・・」








グレイの意識は完全に闇へと沈んだ。
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