Short

□牢屋の中の姫君
2ページ/6ページ



一方、グレイの匂いをかぎつけ、ウォーレンのアジトまでやってきたナツは手当たりしだいに建物の中をグルグルと回っていた。

「クッソ〜ここの建物、ドアありすぎなんだよ」

そういいつつも、なんの迷いもなくドアを開いていくナツ。
その先に、グレイがいると信じて・・・
そうしてもう何度目かのドアを開いた時・・・ナツの目の前には長髪の男・・・ウォーレンがいた。
しかし、その男がグレイをさらった男であり、
グレイの兄のような存在だったことはナツが知るはずもなく・・・
なんの危機感もなく、目の前に立つ男に話しかけた。

「おーなんだ、人いんじゃねーか
 てか、オマエこんなトコで何やってんだ?」

いたって普通のセリフ、疑問。
何も変なことは言っていない
しかし、目の前の男はまるで怒っているかのように震えていた。

「お、おい!大丈夫か?震えてっぞ?」

とナツが近づこうとした瞬間・・・

「僕に近づくなッッ!!!」

一瞬、ナツの動きが、二人の周りの時間が止まる。
男は震える手で拳をつくり、ナツにむかって大声で叫んだ。

「お・・まえが・・・ナツ・・・か?」

「おぉ!オマエ俺のこと知ってんのか?
 なぁなぁ、グレイってどこに・・・」

「その名前を口にするな!!」

自分の言葉が遮られたのと同時にナツは目の前の男が少し変なことに気づく。
しかし、そんなことにも気づかず、男は言葉を続ける。

「お・・まえが・・・僕から・・・俺から・・・グレイを奪ったんだッッ!!」

突如出てきた仲間の名前に驚く。
そして、ナツの中で一つの答えが出てきた。

「まさか、テメェがグレイを襲ったヤローか・・・ッ!!」

「ははっ、その通り。彼は僕と一緒にいるべきなんだ!!」

「テ、メェ!何ふざけたこと言ってんだ!!
 グレイは俺たちの仲間だ!!」

ナツの手に炎がともる。
しかし、ウォーレンはまったく驚かず、むしろ予想したとおりといった顔だった。

「へぇ・・・本当に手から炎が出るんだね
 話しを聞くだけじゃ信じられなかったけど・・・
 どうやら本当みたいだね」

パチンッ

ウォーレンが指を鳴らすと周りから黒い色をした獣のようなものが出てきた。
そのどれもが、目を光らせナツを見ていた。

「んだぁ?コイツら・・・」

「これは僕の可愛い下僕たち。
 君の相手はこの子達だよ」

もの凄い速さでナツに襲ってくる獣たち

しかし

ガシャアァァァァン・・・


「はっ、こんなんが俺の相手だぁ?
 ふざけてんじゃねーぞ、こんなんすぐ倒して・・・
 グレイは俺たちのところに帰るんだ!!」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ