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□明けない夜
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そういえば、昔・・・ミラちゃんが言ってたっけ
”知ってる?グレイ
好きな人の姿っていうのはね、いやでも目に入ってくるものなの”
”ホントかよ?
いくら好きでもそりゃねーだろ
しつけーったらありゃしないぜ”
ホントだな、ミラちゃん・・・
おかげで、ナツを助けられた・・・。
腹を押さえると、どろっとした液体が指にからみついた。
それは自分の手を赤く染め、それがだと血分かった。
「グレイッ!!」
朦朧としていく意識の中、最後に聞いたのはナツの叫びだった。
ナツ、泣くんじゃねェよ・・・
それじゃ、俺が怪我して守ったのに意味ねェだろ・・・
仲間たちの心配そうな視線の中、グレイの意識はそこで途絶えた。
夢を見た。
そこは、とても暗くて悲しい場所だった。
その少し先に光が見えた。
自分が一番安心できる居場所。
俺の最も愛する人・・・
しかし、そこだけ靄がかかったようになって見えない。
誰だ・・・?
必死になって思い出そうとするのに、
思い出そうとすればするほど、靄は濃くなっていくばかりだった。
アレは・・・俺の・・・
そこで、グレイの夢は途絶え、意識が覚醒する