Short

□明けない夜
2ページ/4ページ

そういえば、昔・・・ミラちゃんが言ってたっけ


”知ってる?グレイ
 好きな人の姿っていうのはね、いやでも目に入ってくるものなの”

”ホントかよ?
 いくら好きでもそりゃねーだろ
 しつけーったらありゃしないぜ”

ホントだな、ミラちゃん・・・
おかげで、ナツを助けられた・・・。

腹を押さえると、どろっとした液体が指にからみついた。
それは自分の手を赤く染め、それがだと血分かった。

「グレイッ!!」

朦朧としていく意識の中、最後に聞いたのはナツの叫びだった。

ナツ、泣くんじゃねェよ・・・
それじゃ、俺が怪我して守ったのに意味ねェだろ・・・

仲間たちの心配そうな視線の中、グレイの意識はそこで途絶えた。





夢を見た。
そこは、とても暗くて悲しい場所だった。
その少し先に光が見えた。
自分が一番安心できる居場所。
俺の最も愛する人・・・
しかし、そこだけ靄がかかったようになって見えない。


誰だ・・・?

必死になって思い出そうとするのに、
思い出そうとすればするほど、靄は濃くなっていくばかりだった。

アレは・・・俺の・・・


そこで、グレイの夢は途絶え、意識が覚醒する
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ