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□たった一つの願い
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気がつけば夕方になっていた。
外を見ると、あたりはオレンジ一色で染まっていた。
時計を見ると、時刻は6時前を指していた。

今日だけでいろいろなことがあったな、と
グレイは自分の手を見つめながら、そう思う。
でも、一番忘れられないのはナツの泣きそうな顔だった。

どうにも、あの顔が引っかかる。
胸の奥で、叫んでる声が聞こえる。

アイツを・・・ナツを泣かせないで、と

「前の俺は・・・ナツのなんだったんどよ?」

そうつぶやいてみる。
しかし、声は部屋の中にこだまするだけで、返事は返ってこない。
それを少し、寂しく感じる。

レビィに記憶喪失だといわれた。
それから、ずっと記憶をなくす前の自分のことを考えている。
記憶をなくす前の俺はどんなヤツだったんだ?
多分、それはギルドの仲間たちに聞けば教えてくれるだろう。
でも、それ以上にナツは俺のことをよく知っている。

・・・今の俺よりも
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