黒嶋学園高等部
□駄目犬×子犬
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俺は一気にコイツが大嫌いになり、そうかと答えた後はずっと無言でいた。
だから、やっとアイツが帰った後も苛ついていた。
不意に眉間に触る手があり驚いて固まる。
視線を上げると、瑞希だった。
下から覗き込むなんて可愛いことをしている瑞希は、指で眉間を伸ばしている。
「あとが残るよ?浩一」
なんなんだ、このかわいい生き物は。
思わず抱え込むように抱き締める。
「わっ」
瑞希は顔を真っ赤にして暫くもがいていたが、諦めて俺の腕におさまった。
腕の中の瑞希は小さくて、あたたかい。
こんなに愛らしい生き物にこれ以上、負担はかけられない。
教師との、しかも同性の、恋愛なんて自覚以上に負担があるはずだ。
そう思っていても、もう瑞希を手離すことはできない。
だから、今は抱きしめ続けるしかないのだ。
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