黒嶋学園高等部

□駄目犬×子犬
4ページ/5ページ


俺は一気にコイツが大嫌いになり、そうかと答えた後はずっと無言でいた。

だから、やっとアイツが帰った後も苛ついていた。

不意に眉間に触る手があり驚いて固まる。

視線を上げると、瑞希だった。

下から覗き込むなんて可愛いことをしている瑞希は、指で眉間を伸ばしている。
「あとが残るよ?浩一」

なんなんだ、このかわいい生き物は。

思わず抱え込むように抱き締める。

「わっ」

瑞希は顔を真っ赤にして暫くもがいていたが、諦めて俺の腕におさまった。

腕の中の瑞希は小さくて、あたたかい。

こんなに愛らしい生き物にこれ以上、負担はかけられない。

教師との、しかも同性の、恋愛なんて自覚以上に負担があるはずだ。

そう思っていても、もう瑞希を手離すことはできない。

だから、今は抱きしめ続けるしかないのだ。


→next、あとがき

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ