桜ノトキ

□〜第九章〜
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「俺ぁ誰よりも強い侍になるぜ!!

そんで、姉上や皆を護るんだ!!」


「そいじゃあ俺も、日本一の侍になってやるぜ!!」



夕日に包まれた二人の少年の影は数十年もたたないうちに一人ぼっちになっていた






――――
―――
――





香澄「えぇ!?

あの沖田双壱と仙太郎が幼馴染!?」



お菊の万事屋にて、香澄の叫び声が響いた



蒼助「そうなんだよ

同じ村で育ったんだ」


お菊「おや、初耳だね」



お菊も会話に入り、津火叉は店の物を見ながら蒼助の話に耳をかたむけた



蒼助「あいつらは同じ村で育って、義兄弟と呼ばれるほど仲が良かったらしい

でも…」



蒼助は一瞬暗い顔になる



蒼助「沖田は仙太郎に何も告げずに村を出て行ったんだ

仙太郎はああ見えて仲間思いな奴だから、自分のせいだって言ってた…」



香澄とお菊は初めて知った仙太郎の過去に複雑な表情をしている


蒼助はそれを振り切るように少し笑って言った



蒼助「でも、あんなカタチでとはいえせっかく会えたんだ

きちっとカタはつけてくるだろうよ」




――――
―――
――




沖田「久しぶり…だねぃ」


仙太郎「そうだね

神様も、こんなカタチで再会させるたぁ…

残酷なことしまさぁ」



呟くように言った仙太郎に、沖田はフッと笑った



沖田「そんな男前が言うようなこと、どこで覚えてきたんでぃ?」



仙太郎も笑った



仙太郎「あぁ、本当だねぃ」



何となく二人の間に和やかな空気が流れたが、スゥっとどちらともなく厳しい顔になる


今目の前にいるのは、友ではなく敵として見るべき相手だ





葉のこすれ合う音

静かに吹く風

ぼんやりとした月明かり





全ての感覚が研ぎ澄まされ、嫌な汗が背中を伝う

ほぼ同時に刀に力を入れ、タッと駈け出した



"キーン"



刃から全身に重い衝撃が伝わってくる



仙太郎「くっ……」


沖田「どうしたんでぃ?

まさか、この程度が苦しいってか?」



沖田の挑発的な言葉に、仙太郎も負けじと押し返した



仙太郎「何を言ってるんでさぁ

まだまだこれからだぜぃ?」
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