桜ノトキ

□〜第六章〜
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津火叉(つかさ)「おかえり香澄」


香澄「津火叉……」


津火叉「城下へ行ってたんだって?」


香澄「それが?」



香澄は布団にもぐりこむと津火叉に背を向けた



津火叉「つれねぇなぁ

てか、お前ってそんなキャラだっけ?」


香澄「イメチェン」


津火叉「どこで覚えてきたんだよそれ」


香澄「どこだっていいでしょ」



津火叉はため息をつくと香澄の布団の脇に座った



津火叉「んで?

話してくれよ城下について」


香澄「!?」



香澄は驚いて布団から顔を出して津火叉と目を合わせた

津火叉は子供っぽくにやりと笑うと言った



津火叉「まさか、あんだけ城下にいて土産話ひとつ持ってねぇわけじゃねぇんだろ?」


香澄「つ…津火叉…?」


津火叉「いーだろ?

減るもんじゃなし」



香澄は信じられないといった表情で津火叉を見つめる



香澄「津火叉も城下に行きたいの?」


津火叉「ん?俺か?

まあな、でも香澄が行きたそうだったから


…我慢してた」


香澄「津火叉……」


津火叉「お前はいつも、こうと決めたら何が何でも曲げないタチだろ?」


香澄「よくわかってんじゃん」



香澄もにやりと笑い返した



津火叉「なんてったって、俺は婚約者だからな」


香澄「やだよ」



得意げに言う津火叉に対し、香澄は不満そうに言う



津火叉「な…なんでだよ?」


香澄「津火叉は心友だよ!

誰にも変えられない、かけがえのない人なの!!!

だから、だから今さら婚約者だなんて言われても……」


津火叉「いーんだよ

俺だってお前を幼馴染以上の奴として見たことなんざねーよ」



香澄も津火叉もお互いから視線を外してしまった

しばらくしてから、津火叉が先に口を開いた
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