桜ノトキ

□〜第三章〜
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――――翌日





三人に連れられ、香澄は町はずれへと来ていた






「まずは、その身なりをなんとかしないとだな」



「どうするんですかい?」



「わかったぜ

お菊(おきく)んとこだろ?」



「あぁ、あいつんとこは何でもそろってるからな」



「??」








―――――万事屋





「お〜いお菊〜」



「へぃ、いらっしゃ…って、琉士じゃねぇかぃ!!

久し振りだなぁ」






店の奥から出てきたのは、女にしては珍しく髪を短く切っていて

小柄だがとても可愛らしい"お菊"と呼ばれた女亭主だった



三人とお菊は古い知り合いらしく、琉士と何やら話している






「ここはどこじゃ?」



「ここは万事屋って言って、簡単にいえば何でも屋ってとこでさぁ」



「これからお前も世話になんだろうから、お菊にゃ挨拶ぐれぇしとけよ」



「うむ」






お菊は琉士との話が終ったらしく、ずかずかとこちらへ歩み寄ってきた






「!?」






お菊は手を顎にあて、香澄を上から下までたしなめるように見る






「な…なんじゃ?」



「ほほぉ…

興味深い話じゃねぇかぃ」



「だろ?」






口の端をくぃっと上げて妖しげに笑う琉士






「おめさん、名前は?」



「向ヶ峰 香澄じゃ…」



「……ぷふっっっ」






いきなり吹き出したお菊に、「?」が浮かぶ香澄、仙太郎、蒼助






「こりゃ確かに手ごわそうだわ」



「おい琉士…

一体何をお菊に吹き込んだんだ?」






蒼助が声をひそめて琉士に言った






「ん?あぁ、俺ぁただ

"貴族を庶民に仕立ててくれ"

と頼んだだけだ」



「安心しな

あたいがちゃあんと面倒みてやるよ!!」



「よ…よろしゅうに…」






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