ヴァリアーライフ

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「何でオレがこんなの持たなきゃいけないんだよ!叩き起こしちゃえばいいじゃん」

上から降って聞こえたベルフェゴールの声。因みに〈こんなの〉とは私の事で。

『…………』

私だってまさか君に持ち上げられるなんて思ってなかったし。
そして、俗に言うお姫様抱っことまでは言わないから、せめておんぶにしにて欲しい。俵担ぎだとお腹が痛くなるんだけど。
こんなことになるなら、寝たフリなんてするんじゃなかったかな。
でも話し掛けられたくなかったし。

「五月蠅いよ。マフィアは女性に優しくが基本でしょ。それに折角歳も近いんだから少しは仲良くしたらどうなんだい?もし落としたら、君とはもう口を聞かないよ」

口を聞かないよって、なんか子供みたいな言い方で可愛いな。そりゃまぁ外見は子供でもなくて赤ん坊なわけだけど。

「はぁ?こいつ女性じゃなくてただのガキじゃん。何で俺がこんなガキと仲良くしてやんなきゃなんないの?わけわかんないし。先輩、見てないで代わってくんね」

ベルフェゴールの言う事もご最で、私だってこいつと馴れ合うつもりは更々ない。大体私のことガキガキ言ってるけど、歳は4か5くらいしか変わらないはずだ。
目を瞑ってそんな事を考えていると、話を振られたスクアーロのため息が聞こえた。

「俺はこれ以上ガキの子守は御免だ。大人しく諦めてお前がやりやがれ」

スクアーロにそう言われた途端、ベルフェゴールからとんでもない量の殺気が溢れ出した。ちょっ、ちょっと、痛いんですけど。

「しししっ。何、先輩は俺もまだガキだって言いたいわけ。喧嘩売ってんなら買ってやるけど?」

シャッと小さく金属同士が擦れたような音がして、ベルフェゴールが何か武器を構えたのが分かった。
こいつすっごい短気だな。

「あ゛ぁ?そういう所がまだ青臭いって言ってんだぁ。図体ばっかでかくなりやがってよ」

スクアーロもそれにイラついたらしく、まさに一触即発。
やっぱり殺しのプロって殺気からして違う………気がする。

「………全く、金にもならないのによくも飽きずに毎日毎日やれるね」

と、そこに割り込んだ声。

「ベル、遊ぶのは後にしてよ。報告書は僕が出しておくからその子を適当な空き部屋に放り込んでおいて」

こんなのを毎日やってるのか。
というより放り込んでおいてって、ついにマーモンさんまで私を物扱いですか。

「チッ………ししし、先輩後で覚悟しとけよ」

「望むところだぁ」

おぉ、本当にベルフェゴールが諦めた。
さっきも思ったんだけど、ベルフェゴールはマーモンさんのことが好きなんだろうか。マーモンさんに言われるとやけに素直に従っている気がしてならない。
それに、私がマーモンさんを抱っこしているのを見て不機嫌になっていたし。
まぁ、どうでもいいけど。
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