書物

□君の存在
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−君の存在−


今日は忍術学園が休みなので、オレは朝から夕方までびっしりアルバイトを入れていた。
仕事内容は簡単なものばかりだが、引き受けた量が半端なく多いので、乱太郎に手伝ってもらうことになった。

「もう!一人で出来ないなら、こんなに引き受けないでよ!!」

腕を組みながら頬を膨らませ、オレを怒る乱太郎。
その姿は可愛いと、さりげなく思った。

「悪かったよ…。でも、銭を沢山稼ぐにはアルバイトの量を増やさないとさ…」

反省するが言い訳もする。
何故なら、オレには銭が必要だから。
オレには稼がなくてはいけない理由があるからだ。
例え想いを寄せている相手に怒られようと、これだけは譲れない。

「…わかってるよ…。私だって、きりちゃんがアルバイトを沢山やってる理由はちゃんとわかってるんだよ…?でもね、無理しても、体調を崩しちゃうだけだよ…っ」

今にも泣きそうな声で、乱太郎はオレに云う。
そんな乱太郎をオレは抱き寄せた。

「ごめん……。ごめんな…乱太郎…」

乱太郎の耳元で囁く。
乱太郎はオレの頭を軽く撫でて、“無理厳禁”と返してきた。
それを聞いてオレが笑うと乱太郎も笑った。

(これからもずっと、こんな時間が続けばいいなぁ)

幸せな時間。
今のオレにとって乱太郎は、幸せな時間を与えてくれる存在、そして愛しい存在。




−完−
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