恋愛モラトリアム
□もう、恋なんかしたくない
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その時、
マンション前の車寄せに、
1台のジャガーが止まった。
粋にスーツを着こなした、
若手実業家っぽい男が
マンションに入っていく。
歳は30代半ばくらいで、
背も高く顔立ちも整ったいわゆるイケメン。
その男は、
玄関ホールの入口で身を隠す
ハルキを見つけて、
キツイ眼差しを向けた。
怒りとも憎しみともつかない瞳で睨まれ、
ハルキは驚いていた。
なぜ、初対面の赤の他人に、
そんな感情をぶつけられるのか。
そう感じた瞬間、
底知れないイヤな予感が走る。