恋愛モラトリアム
□捨てられた、切ないペット
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その日から、3週間ほど時がたった。
3日と空けずに愛し合っていたのに、
あの日以来、
茉莉からの連絡が途絶えた。
ハルキからは、連絡をしてはいけない約束だった。
茉莉が逢いたいときだけに会う主従関係。
最初は、仕事が忙しいのか、
パトロンが来ているのだろうと
気楽に考えていた。
でも、時がたつにつれ、
ハルキの心に得体のしれない焦燥感が現れた。
それは、今までの仕事や自分に対するものではなくて…。
知らない間に茉莉によって埋めてもらっていた、
心の空洞がポッカリと開きだす。
ハルキは茉莉を見失って初めて、
そのことに気付いた。
それからは、茉莉のことが、
心を占めるようになっていた。
もしかして、おれ、捨てられた?
そんな思いがフッとよぎる。
でもケータイをかける勇気はなかった。
茉莉を求めている自分を認めたくない。
いや、茉莉との約束をやぶって、
彼女から本当に切られるのが怖かった。