novel
□milk
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「…時々、不安になるの。」
「…………。」
「本当にあたし、野立のそばにいていいの?
あたし…、可愛くないし、若くもない。
我が儘で天の邪鬼で素直じゃなくて…っ。
本当に野立にふさわしいの?
あたしは…っ!」
「絵里子」
「…っ。」
苦しそうに吐き出す絵里子の言葉をそれ以上聞いてはいられず、野立は強く遮った。
「絵里子、その考えは余計なことだとは言わない。そんなに考え込むほど俺のこと好きでいてくれてるんだよな?
なぁ絵里子。俺もお前と一緒だよ。こんな俺がお前にふさわしいのか、俺だって思うことはある。
でもな、俺はそのあと、いつも思うんだ。絵里子がどう思っていようと、俺が絵里子と一緒にいたいって。
俺は、俺のためにお前のそばにいたいと思うんだ。
…絵里子は?
ふさわしいとか、そういうんじゃなくて、ただ単純に絵里子はどうしたい?」
幼子に諭すように優しく語りかける野立の言葉に、絵里子の目から涙がこぼれ落ちた。
「……あたしは、……野立と一緒にいたい…。野立のそばで、これから、ずっと…。」
「うん。俺も。絵里子とずっと一緒にいたい。
俺たち相思相愛だな〜。」
急におどけたような野立に、絵里子が微笑んだ。
しばらく黙ってお互いの体温を感じていると、野立がおもむろに立ち上がった。
「ちょっと待ってて。」
絵里子の頭をひとなですると、キッチンへと向かう。