novel
□milk
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月が綺麗な晩、野立は隣に違和感を感じ、ふと目を覚ました。
はっきりしない頭を動かし、右手で隣を探ると冷たいシーツを感じた。
普段そばにあるはずの温もりを感じることが出来ず、不安になる。
起き上がって辺りを見渡すと、僅かに開いた扉から光がもれている。
近づき、リビングへと続く扉を開き中を覗き込むと、ソファの上で膝を抱えて俯いている恋人がいた。
「……絵里子?」
静かに声をかけると、彼女はぴくりと肩を震わせた。
「…ごめん。起こした?」
「いや。大丈夫。……どうした?」
自分を気にしている彼女に声を返し、問いかける。
「んー…。ちょっと眠れなくて…。」
不安げに瞳を揺らし、それでも笑おうとする彼女に、胸が痛くなった。
「悪い夢でも見たのか?」
そっと近づき、彼女の隣に腰を降ろすと、野立はその細い肩を引き寄せ、腕の中に閉じ込めた。
冷え切った絵里子の頬に手を当て、瞳を覗き込むと、彼女は安堵したようにその手に頬ずりをする。