シチュエーションボイス台本

□旅立つ君へ
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<本編>
(ビデオメッセージで思いを伝える)
(ビデオメッセージの為、一人喋り)


(咳払い)やっほー!気分はどうですか?
いや、なんかこれ恥ずかしいね(笑)
…君のことだから、きっと自分のよりも僕のことを心配しているのかな。
僕はね、忙しい中でもやりたいことができて充実した毎日を過ごしているよ。
だから安心してね。


今日はね、大切な友だちである君に、改めて僕の思いをちゃんと伝えたくて…。
会って話せばいいのに、どうしてビデオメッセージなのかってきっと不思議に思ってるよね笑?
それはね…直接会って話すと、きっと泣いてしまうから…。
泣いちゃったら、ちゃんと思いを伝えられない気がして…。
だから、ビデオメッセージにしました。


君と出会って、楽しい思い出がたくさんできたんだ。
同じ趣味の話をしたり、お互いのプライベートのことを話して笑い合ったり…。
すごくすごく楽しい思い出がいっぱい。


でも実はさ、君のこと、大切な友だちって言っておきながら、僕たちって出会ってそんなに時間は経ってないんだよね。
どうだろう…半年ちょっとかな?
それだけの短い間だけど、本当にたくさんのことを話してきたよね。
そう…、たったの半年なんだよ…。
ほんとは、ほんとはさ…。
これからもずーっと、こうして色んな話をして、笑い合って楽しい思い出を積み重ねていきたいよね。
それなのに、それが…、もしかしたら叶わないのかもしれない…。
君に残された時間はあとどれくらいなの…?
どうして君が、病気にならなくちゃいけなかったのかな…?
僕は、どうしたらいい?いや、君の為に何がしてあげられる…?
ここ最近、ずっとそのことばっかり考えてる。
でも、答えなんてそう簡単に出なくてさ。
とりあえず今の僕の思いをちゃんと伝えたくてこんな形になっちゃった…。


まだやりたいこと、たくさんあるよね?
もし、僕が君の立場だったら…って考えると、すごく怖い。
そんな中、逃げることもできなくてただただ耐えて、耐えて、耐えて…。
誰よりも頑張ってる君のことを心から尊敬する。
厳しい状況だっていうのはよく分かってるよ。
でもね、僕はまだ諦めていない。
…というより、諦めきれないんだよね。
本音は…、これからもずっと生きて欲しい。
でも、そう願っても、君に残された時間は残り僅かかもしれない。
そう思うと、今伝えておかないとダメな気がして…。


君にこれまで「諦めないで」って、何度も伝えてきたよね。
その気持ちは変わらないよ。
でも、それを君に押し付けるのは僕のエゴなのかな、と思ったりもするんだ。
どうしてもさ、周りの人たちは生きてほしいって願うから…。
がんばれ!とか諦めるな!って言葉をかけてしまうけれど…。
それが重荷になっていないか不安だよ…。
君の頑張っている姿を見ていると口に出すことをためらっていたけれど…。
いずれはね、本当に痛みや苦しみが強くて耐えられなくなった時は…。
それを緩和する治療に切り替えてもいいんじゃないかって思う。
最期くらい、体の力を抜いてゆったりとした気持ちで過ごしてほしい、って思ってしまう。
それだけ君がこれまで頑張ってきたのを見ているから。
だから…、頑張ることに疲れ切っちゃたら、楽になることも考えていいんだよ…?


いつか、君が旅立つ時が来たら落ち込むだろうなあ…。
でもね!ちゃんと立ち直ってみせるから。
前を向いて歩いていくから…ね。
君は、自分がいなくなった後のことを絶対に心配してると思うから…。
君がいなくなった世界はきっとものすごく寂しいよ。
…寂しいけれど、君が生きられなかった分まで、残された人は生きなきゃいけない。
君が命をもって、困難に立ち向かう姿を見せてくれてたくさんの勇気をもらっているよ。
それを無駄にしないためにも、ちゃんと生きていくから。


…それに、体も大切にする。
君は自分の体が辛い時にも、いつも僕の体のことを心配してくれていたよね。
それは、自分の体験からだよね?
身体が辛い日が続いていたのにすぐに病院に行けなくて…気付いたら重い病気になってしまっていて…。
だから、君のその思いを無駄にしないためにも、これまで以上に体を大切にしてくよ。


君が旅立つまでの間、まだまだ君と楽しい話をたくさんしたいんだ。
だから、まだ泣くのはお預け!
ほら!だから今日は泣いてない。僕は笑顔だよ笑!君も笑って?
笑うと福を呼び込むし、何よりガン細胞を消すくらいの力が笑顔にはあるんだって!
君が大笑いするくらいのとびきりの楽しい話を見つけておくから、ぜひ聞いてね!


じゃあ、とりあえずぼくの思いは伝えたので…この辺で終わります。
最後まで聞いてくれてありがとう。
一日も長く、君が笑って過ごせますように…。



☆完☆



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