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□お散歩しましょう
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なんとなくちびっこ上級生たちのことが分かってきた桃だったが、ただ見ているのもつまらなくなってきた。
それは、ずっとそばにいて時々穴を掘っていた喜八郎も同じだった。
「おねーたん」
「はいです?」
「きはちろ、ここにあなほるの、あきた」
そう言って泥だらけの指で示した先には、いくつものくぼみ程度の穴が空いている。
桃は苦笑いしながらも、口元に指をあて考え始めた。
「うーん…確かにここにずっといるのもつまらないですよね」
「きはちろ、どっかいきたい」
「じゃあ、みんなでお散歩に行くですか?」
「おさんぽ?」
首を“こてん”とかしげながらも喜八郎の目が輝いた。
それを見て、桃は“にこっ”と笑って立ち上がった。
「よし!じゃあお散歩に行くです。みんなぁ!お散歩に行くですよーっ!」
「「「行くぅっ!!」」」
「行く…っ!」
すぐに集まってきた4人に、桃はまた笑顔を見せた。
「ふわぁ…いいお天気ですぅ」
空を見上げて歩く桃の周りには“きゃっきゃっ”と無邪気な笑い声を上げながら歩く伊作と竹谷と雷蔵。
不安げな兵助とくっついていたい喜八郎の2人は、桃と手をつないで歩いている。
そんな桃たちが向かったのは…
「わあぁっ!お花畑だぁっ!!」
「すごぉいっ!」
目の前に現れたのは、裏山のお花畑。
暖かい風にふかれて、花の香りが“ふわり”と流れていく。
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