忍たま 短編
□こてん、隣人の頭が僕の肩に
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窓際の1番端の席に座る女の子。
「桃ちゃん。時間だよ」
「えぇ〜?良いとこだったのにぃ………だめ?」
「だめだよ。時間は守らなきゃ」
"ちぇ"っと渋々読んでいた本を畳む彼女。
「さーてと!雷蔵も帰るでしょ?」
「うん」
「一緒に帰ろうか?」
「へ!?ぁあ…うん」
学校から駅までの間。
どんな会話をしていたか覚えていなかった。
「おーい!桃!雷蔵!」
ホームで電車を待っていたら、僕と同じく委員会の作業で残っていたハチが合流してきた。
電車の中。
僕達は横並びに三人で座った。
「でさぁ。勘ちゃんがね!!」
「馬鹿だなーあいつ」
「あんたも同じ位バカでしょ」
「あんだと!」
仲良く話す(?)二人を横目に僕は読みかけの小説に目をやった。
本当は僕も二人に混ざって話をしたいけど…二人の仲に僕が入って良いのか?とか、上手く桃ちゃんと話せるか?とか、色々と考えてしまって中々入ることが出来ない。
だから、桃ちゃんと普通に仲良く話せるハチが羨ましい。
まぁ"幼なじみ"だったのもあるだろうけど
(あれ…?静かになった)
急に静かになる二人。
"こてん"
不意に乗っかる桃ちゃんの頭。
なんでもないことなのに、僕の心臓はドキドキしていた。
(こんなチャンス滅多にない)
そう思った僕は、桃ちゃんの頭に重ねるように軽く頭を乗せた。
きっと周りから見たら『カップルに間違われるかも』なんて馬鹿なことを考えちゃった(笑)
(ふぁぁ…眠いや、僕も寝よう)
───zzz
そして。
目を覚ました僕達。
「ねぇ。どこ。ここ」
「さぁ?」
「なんであんたまで寝るのよ!ハチ」
「俺かよ!」
気づいたらみんな起きないで終点の駅まで来てしまったみたい。
目の前では桃ちゃんとハチが口喧嘩している。
止めようかな…どうしようかな…なんて悩んでいたら
「こら、雷蔵!!なに他人のフリしてんのよ」
「し、してないよ!!」
「おい、桃。雷蔵が怯えてる」
「なんですってぇぇぇ!?この口かぁぁぁ」
「にゃんでおへなんらよ…(なんで俺なんだよ…)」
「ハヒ…いたひ(ハチ…痛い)」
「おみゃへがちぇをはなしぇたらはなひゅ(お前が手を離したら離す)」
「ひ や は(い や だ)」
目の前にいる二人の頬が伸びて面白い顔になっているのを見たら、急に可笑しくなった。
「ぷっ…くくくっ…」
「「ん?」」
お腹を抱えて笑い出す僕に二人はキョトンとしていた。
「ふっ二人のかかか顔が…アハハハハ」
二人を指差して笑う僕。
お互い見つめ合う、桃ちゃんとハチ。
「「ぷっ…アハハ」」
そんなとある日の出来事。
おわり
→お礼