忍たま 短編

□こてん、隣人の頭が僕の肩に
1ページ/2ページ



窓際の1番端の席に座る女の子。

「桃ちゃん。時間だよ」
「えぇ〜?良いとこだったのにぃ………だめ?」
「だめだよ。時間は守らなきゃ」

"ちぇ"っと渋々読んでいた本を畳む彼女。

「さーてと!雷蔵も帰るでしょ?」
「うん」
「一緒に帰ろうか?」
「へ!?ぁあ…うん」

学校から駅までの間。

どんな会話をしていたか覚えていなかった。

「おーい!桃!雷蔵!」

ホームで電車を待っていたら、僕と同じく委員会の作業で残っていたハチが合流してきた。

電車の中。
僕達は横並びに三人で座った。

「でさぁ。勘ちゃんがね!!」
「馬鹿だなーあいつ」
「あんたも同じ位バカでしょ」
「あんだと!」

仲良く話す(?)二人を横目に僕は読みかけの小説に目をやった。

本当は僕も二人に混ざって話をしたいけど…二人の仲に僕が入って良いのか?とか、上手く桃ちゃんと話せるか?とか、色々と考えてしまって中々入ることが出来ない。

だから、桃ちゃんと普通に仲良く話せるハチが羨ましい。

まぁ"幼なじみ"だったのもあるだろうけど

(あれ…?静かになった)

急に静かになる二人。

"こてん"

不意に乗っかる桃ちゃんの頭。

なんでもないことなのに、僕の心臓はドキドキしていた。

(こんなチャンス滅多にない)

そう思った僕は、桃ちゃんの頭に重ねるように軽く頭を乗せた。

きっと周りから見たら『カップルに間違われるかも』なんて馬鹿なことを考えちゃった(笑)

(ふぁぁ…眠いや、僕も寝よう)


───zzz


そして。
目を覚ました僕達。

「ねぇ。どこ。ここ」
「さぁ?」
「なんであんたまで寝るのよ!ハチ」
「俺かよ!」

気づいたらみんな起きないで終点の駅まで来てしまったみたい。

目の前では桃ちゃんとハチが口喧嘩している。

止めようかな…どうしようかな…なんて悩んでいたら

「こら、雷蔵!!なに他人のフリしてんのよ」
「し、してないよ!!」
「おい、桃。雷蔵が怯えてる」
「なんですってぇぇぇ!?この口かぁぁぁ」
「にゃんでおへなんらよ…(なんで俺なんだよ…)」
「ハヒ…いたひ(ハチ…痛い)」
「おみゃへがちぇをはなしぇたらはなひゅ(お前が手を離したら離す)」
「ひ や は(い や だ)」

目の前にいる二人の頬が伸びて面白い顔になっているのを見たら、急に可笑しくなった。

「ぷっ…くくくっ…」
「「ん?」」

お腹を抱えて笑い出す僕に二人はキョトンとしていた。

「ふっ二人のかかか顔が…アハハハハ」

二人を指差して笑う僕。

お互い見つめ合う、桃ちゃんとハチ。

「「ぷっ…アハハ」」



そんなとある日の出来事。



おわり



→お礼
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ