忍たま 長編
□一年は組 その1
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「いいか?お前が女であるというのは、今は秘密だぞ」
「えっ?なぜです?」
廊下を歩きながら、桃は隣の土井先生を見上げた。
山田先生は途中で他の先生に呼ばれ、今は2人で教室に向かっている最中である。
不思議そうな顔をする桃に、土井先生は困った顔を向けた。
「その方が混乱を避けられるからだ。分かっているとは思うが、忍たまクラスは男子しかいないんだ。“女子が入ってきた”なんて言えば、きっと驚いて大変なことになる。」
「そ、そうなのですか…」
少し“しゅん…”と不安気にうなだれてしまった桃。
それを見て、土井先生はあわてたように補足した。
「け、けどな!は組は全員いい奴らだ!すぐに仲良くなれるさ」
「ホ、ホントですかっ!?」
顔を勢いよく上げて“ぱぁっ”と輝かせた桃に、土井先生の頬が自然とゆるむ。
「わたし、みんなとお友達になれるですか?」
「何の心配もない。大丈夫さ」
そう言って、頭をぽんぽんと叩くと、桃は“ふにゃっ”と笑った。
「……」
「…土井先生、どうしたです?」
きょとんとしてこちらを見つめる土井先生に、桃は首をかしげながら尋ねた。
「あ、いや、何でもない!」
「?」
(新しい、癒しか…)
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