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□貴方が側にいたら●
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溌剌とその存在を誇示する太陽
それにより熱を帯びた白い砂浜
雲を追い払った後の澄んだ空。
絶好の海日和。
「うわぁー!凄いかもー!!!」
時折やってくる波により静かに揺れる水面は、まるで海上の無数の星を見ているかの如く、きらきらと輝く。
ハルカは早速その自然の恩恵を受けようと、少しばかり冷たい水に爪先をつけた。
「ねー!シュウもおいでよー!!」
すると、ふと思い出したかの様に踵を返し、パラソルの下で鬱陶しげに汗を拭うシュウに向かって叫んだ。
「僕は遠慮しておくよ、昨日のコンテストの疲れが溜まっているんだ」
そう言うと、シュウはゴロンと寝転んだ。
昨日の激しいコンテストバトルが相当応えたようだ。
折角プライベートビーチにやって来たと言うのに勿体ない。
いや、彼の場合はそう珍しくはないのだからそう言う感情は持ち合わせてはいないのかも知れないが。
ハルカは色々と詮索しながらも、口を尖らせ、海へ勢いよく潜った。
全身を包む程良い冷たさが芯まで浸透し、心に穏やかさが戻って来るようだ。
この場所は整備された範囲内であり、いざと言う時の安全を考えてこの付近にはポケモンを近付けさせない様にしている。
《一人はつまらないかも…》
本当はシュウと一緒に泳ぎたかったのに。
何もない海は澄んだ美しさしか与えてくれない。
誰かと共有する事によって生まれる楽しさが欲しい。
これでは、孤独だ。
《えぇい!こうなったら我武者羅にでも泳ぐかも!!》
寂しさを紛らわす為、ハルカは無我夢中で泳いだ。
水を懸命に掻き分け、前へ前と進んで行く。
しかし、突如目の前を横切ったソレを見てしまった瞬間、過去に溯ってあの恐怖がじわじわと蘇り、酷く眩暈がした。