色々話

□金の鳥
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昔々、あるところに小さいながらも、豊かで美しい国がありました。
その国の王様は世にも珍しい「金のリンゴ」のなる木をお持ちで、その木のすばらしさは他の国にも知れ渡るほどでした。


ある日のこと王様はいつものように「金のリンゴ」の数を数えていると、おかしなことにリンゴの数が減っていました。
「金のリンゴ」ですから腐って落ちるようなことはありません。
これはどうしたものか?
お城はとても厳重に守られており外からの進入は考えられません。
兵士達がやったのか?
王様は兵士達を外に追い出し、城の外をそれまで以上に厳重に警備させました。



次の朝、
リンゴの数を数えてみると、前の日よりさらに数が減っていました。
これはいったい?
兵達は外にいました。
城の中にいるのは、王様、王妃様、そして息子の王子様だけです。
まさか王妃達なのだろうか?
王様は外にいる兵を少しだけ城内に入れ1日中2人を見張らせました。



そしてまた次の日、
リンゴの数を数えてみると、また前の日より数が減っているではありませんか。

「兵たちよ、2人はこのリンゴを取ってはいないのか?!」
「いいえ、王妃様も王子様もこの木に近寄っていません。」

ついに王様は怒りだしました。

「王子をここへ呼べ!そしてお前たちは外へ出てまた見張っているのだ!」

兵たちは王子様にそのことを伝えると、またお城の外へ出てゆきました。


さて呼び出された王子様

王子様の名は「L」
黒い髪、黒い瞳の持ち主で、
寝不足なのかいつも目の下に隈を作っていました。

「Lお前が金のリンゴを盗んだのではあるまいな?!」
「・・・何で私がそんな事を・・・金のリンゴには毛ほどの興味もありません。」

王子様は心底あきれはてた声で言いました。

「ならばなぜ金のリンゴが日に日に無くなっていくのじゃ!?」
「知りませんよ。言ったでしょう、そんなものに毛ほどの興味もないんです。」

王様は大事な大事な金のリンゴを、そんなもの扱いされたことに怒り出してしまいました。

「ならば今夜金のリンゴの木をお前が寝ずの番をして見張るのじゃ!!」
「はぁ!?」
「よいな!!」
「よかないですよ!!ふざけないで下さい!!」
「ふざけてなどおらん!」
「そんなこと兵士にでもやらせばいいでしょう!!!」
「ならん!兵士は信用できん!!お前が一人でやるのじゃ!!!」
「・・・このバカ親父!」

王子様の歯噛みの音が聞こえてくるようでした。



夜も更け
いいつけどうり、王子様は金のリンゴの木の下で寝ずの番をすることになりました。

「・・・あんのクソ親父・・・・・今に見てろ・・・・」

ぶつぶつと文句を言いながらも、仕事となればきちんとこなす気の王子様は
召使に毛布と、紅茶、甘いお菓子を準備させ、金のリンゴのなる木を眺めていました

「・・・しかし、あれだけ厳重に管理しておいて人に盗みだせるもんですかね・・・」

その時でした
遠くの空からなにか光るものが近づいてきます

「?」

よく目をこらせて見ると、なんと金色に輝く鳥ではありませんか

「・・・金の鳥・・・・・」

金の鳥はゆっくりとリンゴの木に近づくと、金のリンゴを1つ掴みそのまま飛び去っていきます

「・・・矢・・・では死んでしまうかもしれませんね」

王子様は木のそばに落ちていた石をつかむと、金の鳥に向かって投げました
石は見事に金の鳥にぶつかりました
しかし、金の鳥は少しよろけた後そのまま空の彼方へ消えていってしまいました

「・・・これは、任務失敗になりますね・・・」

庭の隅には金色の羽が1羽落ちていました




次の朝
早速王子様は王様に金の鳥のことを報告しました
その話を聞いて王様の目が輝きます

「いいな〜それ・・・」
「(この成金趣味が)昨日は仕留め損ないましたが、あの金の鳥は金のリンゴを目的に飛んでくるのですから、また今夜にでも兵達に命じ捕らえてはいかがでしょう」
「今すぐ欲しいのじゃ」
「しかし、金の鳥がどこから飛んでくるのかもわかりません、闇雲に探すよりこちらに来させた方が得策かと」
「お前のことじゃ、検討はついておるのじゃろう?ひとつ捕らえて来てはくれんかのう」
「・・・父上・・・」
「頼む、息子よ」
「・・・」
「L〜」
「・・・あなたいいかげんにしないと、安心した老後を送れませんよ」

あまりにはすごい(暗い)迫力に、王様も少しビビッてしまいました
しかしどうしても金の鳥を手に入れたい王様は勇気をふり絞ります

「頼む!L!!今すぐに捕まえてきてくれれば、わしはすぐにでもお前に王座を渡そう!!」
「・・・・」
「本当じゃ!ちゃんとした証も残す!!」
「・・・本当ですか?」
「誓おう!!」

早速王様は紙に筆を走らせます

「・・・わかりました」
「本当か!!!」
「3日待って、鳥がこなければ考えましょう」

王子様はそう言ってその書類を持っていってしまいました



そうしてその日の夜
王子様は幾人かの兵士に指示し、リンゴの木を見張らせました
木の陰に隠れさせたり、柱の影に隠れさせたり、捕獲の準備も万端です
しかし、待てど暮らせど金の鳥はいっこうに姿を見せず
とうとうなにもないまま朝を迎えてしまいました

「・・・やはり来ませんでしたか」
報告を受けた王子様はポツリと言葉をこぼしました
はじめの日に石をぶつけられた金の鳥は、警戒して来なくなるのではないかと予想していたようです

「・・・後2日様子を見て下さい」
少しの沈黙の後王子様は兵士たちに言いました

さて黙ってないのは王様です
「どうゆうことじゃ!!金の鳥は来なかったではないか!!!」
「一度私が石をぶつけてしまいましたから、警戒してしまったのでしょう」
「ならばもうやって来ないとゆうことか!!?」
「まだ分かりません。もう少し様子を・・・」
「待てん!!!」
「・・・・」
「いやじゃ〜もう待てんも〜ん」
「・・・・」
「L〜L〜お願いじゃよ〜〜」
「もう少し様子を見てみましょう」
だだをこねてみたものの、すっぱりと切り捨てられた王様はさめざめと泣き崩れました

そして2日目、3日目と待ってみたものの金の鳥はいっこうに現れる気配がありません
どうしても金の鳥が欲しい王様はとうとう怒りだしてしまいました

「L!!待てど暮らせど金の鳥来んでわないか!!!」
怒りで顔を真っ赤にした王様が叫びました
「父上・・・」
「言い訳は聞きとうない!!!!」
「・・・・」
「今から金の鳥を探しにゆくのじゃ!!!!」
「それなら兵士に・・・」
「ならん!!!お前が行くのじゃ!!!!」
「はぁ!!?」
「元はといえばお前が石をぶつけたことが原因!!!お前が探しに行くのじゃ!!!!」
「ふざけないで下さい!!」
「何もふざけてなどおらん!!!!」
「本気で言ってるのならなお悪いですよ!!!!」
「どうせお前の事じゃ、この3日でとっくにどこにおるのかも確信して、後は兵たちにでもとりに行けせればよいと思っておったのじゃろう!!
そうはいかんぞ!!!お前自身でその場に赴き、一人で金の鳥を捕らえてくるのじゃ!!!!」
「1人!!!?本気ですか!!!!?」
「もちろん本気じゃ!!!!」
「あんた本当にバカじゃないですか!!!!?」
「これは命令じゃ!!!!」
「!!!!」
いくら王子様でも、王様に命令と言われてしまえば従うしかありません


さて大変な事になってしまいました





――――――――――――――――

またまた古いファイルの残りものです

すっげ小さい頃見たアニメのパロです☆
「東○〜マンガ祭り〜♪」
あぁ懐かしいフレーズ・・・(年ばれる)


たぶん続きます☆
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