□さ く ら
1ページ/3ページ




はらり、はらり


目の前を薄桃色の花びらが散る。

まるでそこだけ周りから切り取られたかのように鮮やかに散る。




「桜は人の血を吸っている」




凶悪的に美しく、人を魅了するものは、いつだって世界から逸脱しているもんだ。


そして人間は、それを媒体としてその異界をかいま見、憧れる。





ぱたり、ぱたり


沖田君が人形のような精巧な顔に微笑みを浮かべて近づいてくる。



           その姿は


           まさしく


       世界から逸脱した





『さ く ら』


 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ