小説
□大久保さんの頭の中事情U
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《薩摩藩*大久保利通》
「ふぅ…」
ひとつため息をつく。
「…大久保さぁいけんしたんですか?」
長州藩邸の外で待たせておいた半次郎が、出てきた私を見るなり、そう聞いた。
相当、酷い顔をしていたのだろう。。。
ここ最近、事あるごとに、私の頭の中を支配する者達に気をとられ過ぎて、どちらが現実なのかも、わからぬ状態になる時がある。
「疲れておられもすね」
いつもの私ではない様子に、半次郎は呟くように言った。
「はぁ…」
まったく、何故このような事になったのか……
ため息をつきながら、歩きはじめると、半次郎は慌てて後を追ってきた。
ほゎんほゎんほゎ〜ん♪
《こっこの音は》
(女子高生姿の桂さん*以下桂さん)
「そもそも、彼女の持ち物を勝手に見るのがいけないのです」
(女子高生姿の武市さん*以下武市さん)
「そう。会議を抜け出して、何処へ向かうのかと思えば、女子の部屋。しかも、他のモノには目もくれず、彼女の荷物をあさりはじめるのだから…」
(大久保さんの思考*以下《…》括り)
《厄介な奴等が出てきた…大体こやつら、何故、小娘のように珍妙な格好をしているのだ?顔が武市君と桂君なだけに、更に奇妙だ》
武市さん「奇妙とは失礼な」
《なっなんだ私が想う事に返事もするのかただ、騒がしいだけかと想えば…更に厄介な》
桂さん「あなたの頭の中ですからね。全て伝わっていますよ(笑)」
《…なるほど……理屈は正しいな…》
武市さん「僕だって、好き好んでこのような格好でいるわけではないそれなのに、奇妙とは失礼だ!!」
《好き好んではないと?》
武市さん「当然だ!」
桂さん「…何度も言うようですが、あなたの頭の中は、全てあなたのモノですよ。私達も、あなたが創り出したモノなのですから…」
《わっ私が!?》
桂さん「彼女の書物が、相当印象深かったようですね(笑)」
《…原因は、あれか…》
武市さん「彼女の荷物からでてきた、珍妙な絵ばかりの書物…」
《未来から来たというから、この先の事が何かわかるかと、これからのこの国を考えれば、荷物を見るのは当然であろう》
武市さん「で、この有様と?!」
桂さん「まぁ、私は、嫌いではありませんよ(笑)」
《そりゃあ、桂君は元々女装が趣味だろうからな……(趣味ではありません)と。これは、私の頭の中であって、こやつは、桂君であって桂君ではないのか?!》
桂さん「あまり余計な事を考えると、頭の中が暴走しますよ。私達も、暴走はしたくないですから…」
武市さん「まあ、余計な事を考えれぬようにする方法はある…」
桂さん「まっ…まさか武市君彼を呼ぶつもりなのかい?!そっそれは、あまりに酷では」
《こっこらこらっ誰を呼ぶというのだこれ以上、住人を増やすな》
武市さん「ふっ(微笑)…以蔵!!来なさい!」
桂さん「たっ武市君」
《なっまっまさか!?》