Text

□夜の行方
1ページ/2ページ

いつものとおり、やけ酒が深まって、近藤さんはぐずぐずと泣きだしていた。深夜、近藤さんの自室。明日、近藤さんは非番だ。

「なあトシぃ、どうして俺じゃダメなんだろうなー。なんで俺いっつも振られるの?世の中の女はみんなイケメン以外受け付けないわけ?俺もう人生やめたい…」

「まあそう嘆くなよ。近藤さんは器のでかい、いい男だよ。俺が保証するって。そのうちあんたの良さをわかってくれる女が表れるよ」

俺のおざなりな慰めに、近藤さんは絡む。

「そのうちっていつだよ?何年何月何日ですかー?適当なこと言うんじゃねーよ」

俺にならいくらでも当たっていいと思っていやがる。そう思ったら不意に、鉄壁の自制心が崩れた。俺の我慢だって、限界はあるのだ。



「…ああもうわかったよ。今日は俺が相手してやる。あんたちょっと目をつぶってろ」

そう言って近藤さんの口をふさぐ。
驚き見開かれる近藤さんの目。
俺は容赦なく舌をねじ込み、近藤さんの咥内を蹂躙する。逃げる舌をつかまえ、ねっとり絡ませ、深く深く口付ける。

「…っ。はっ…。ちょ、お前何してんだよ」

一挙に酔いが醒めた顔で、近藤さんが慌てて口をぬぐう。

「だから俺が慰めてやるっつってんだよ。たまってるんだろ?そんなに脈のない女追っかけまわしてよ」

「…違うって!トシ、そんな風に思ってたのかよ」

「違くねぇだろ。…まあ任せてみろよ。きっちり天国連れてってやるからよ」

そう言って近藤さんを押し倒し、帯に手をかけた。

「ちょ、ちょ、待てって、おい」

言いながら、本気で抵抗はしていない。酔っているし、好奇心もあるのだろう。たまっているのは事実なのだ。

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ