ポケスペ鬼倒回想録

□第十八話 逃亡の末に……
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次の日、朝日が昇る数分前に目が覚めた。
昨日の疲れの性で少しも歩かないうちに木の上で眠ってしまったのである。




コトネはまだ寝ている。
肌寒い。
もともと標高が高い山だったため肌に冷たい風がしみた。




雲が木下の崖の近くを漂っている。
自分達は雲の上辺りの高さに居るのだろうか。





ここは天国?






「ハァ………」





息が白い。





「………お姉?」




「コトネ、起きたの?」




むっくりと目をこすりながらコトネは起きる。




「ふぁあ………よく寝た。寒いけど……景色が綺麗………」





「そうね。まるで天国みたい」





「その死人発言止めてぇー。お姉らしくない」





「そう?」





「うん」





「そうかしら………」





木から飛び降り地面に着地する。
靴の底から地面の冷たさが伝わって来た。







「どこに行く?」







「光覧からは離れたほうがいいから陽影辺りまで行きましょう」






再び走り出した。
そして数刻。





この山のふもとに降りたのが間違いだったんだ。





私の人生を狂わせた大きな事件がおきるなんて、そんな未来の事を分かるはずもない。






そのせいで私は生きる意味を失い、






守りたい物を無くし、







自己嫌悪に陥ってしまったんだった。













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