ポケスペ鬼倒回想録
□第六話 法度制度の鎖
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黄羅は息を切らせながら走っていた。
「おい、黄羅!!」
僕は道の途中で厳つい声に呼び止められる。
人にはあまり会いたくない僕は、恐る恐る振り返った。
「村長様!?」
思わず後ずさった。
人の中でも一番嫌いな奴だ。
「お前、最近せわしく出入りしているが、まさか、外者をかくまったりはしてないよ
な?」
もしかして感がいいからかもしれない。
「い…いるわけないじゃないですか。外者だなんて。僕はただでさえ人が嫌いなのに」
首を横に振ると、村長は顔をそむけた。
「ならいい。もう、いけ」
「失礼します」
僕は逃げるように走った。
光の都、光覧へ。
赤桜さんのために。
嫌いな人間のもとへ。
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